講談社現代新書
いかに生きるか

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  • サイズ 新書判/ページ数 204p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061158450
  • NDC分類 159
  • Cコード C0210

出版社内容情報

【内容紹介】
私たちの人生にとって大切なのは、人間経験の深まりである。それが人格をつくり、自立した個人を育て、生きる道を明らかにする。私たちは、その「経験」を、どのように深めてきたか。著書は自らの「経験」を、問い直しながら、日本的な人間関係、社会組織、情緒観などを省察し、日本人の“生”のありようを、真摯に追究する。そのとぎすまされた批判力と、みずみずしい感覚、生を凝視してきた精神の深みは、根源的な問いへの回答を用意するだけでなく、私たちに生きる勇気を与えてくれる。

思索と「経験」の深みから――本書の主題は、「いかに生きるか」ですが、それは、自分がいかに生きたかを包み隠さず、凝視する精神と1つになっています。このような点において、森有正ほどに、自分をかざらずに、裸の1人の人間として、自由に、勇気をもって、この困難な問いの核心に侵入できる知性は、存在しないのではないかと思います。すべての硬直した思考やイデオロギーから自由なところで、しばしばキリスト教的有神論からさえも自由なところで、生き生きと森有正は、生きることの問題について語っています。そこにみられるとぎすまされた批判力と、みずみずしい感覚は、読者の心をとらえずにはおかないでしょう。知性の高みが、経験の深みと、見事に一体化しているのです。ここに森有正の独自な世界があります。――解題・山形孝夫

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

左手爆弾

5
森有正の「経験」論の中でも、信仰や社会組織、人間関係といった面から述べた講演集。ある種のスタンダードな西洋/東洋の対立はあるものの、言語や習慣などの経験の束に関心を向けるのはさすがである。個人的には、戦後すぐに渡仏した際に、「日本人は襲われるから」という理由で寄港地で降りることを禁じられたという話。また、日本人はすぐに二人称関係に入ってしまうという話は、『甘えの構造』などにも関連する話であろう。2015/05/31

shishi

5
[A]日本人の個の自立していない現状、キリスト教的一神教が欧州にもたらした3人称の視点、空虚なものではなく、経験を表したものとしての言葉、罪と死、自立した個としての他者と二人称的関係を結ぶことに見出される信仰の根拠などの話。平易な文章だが、その言葉に込められた経験的内容は深い。2013/10/18

すかいふらわぁ

4
森有正という人を、辻邦生の著書の登場人物として知りました。この本を読んだきっかけです。キリスト教関係の講演録なのですが、語られた昭和40年代後半から、キリスト教抜きにしても現在の問題と変わらないところをするどく、日本や海外の例も挙げ語っています。信仰、経験の問題考えさせられました。2020/08/26

pino

3
私の中には二人の私がいる。私が知っているところの自分と、私が与り知らないところの自分と。そしてこの与り知らない自分が何者であり、何を求めているのかを知ること、その道を少しでも進むこと、が生きることの意味だと最近の私は考えている。更にその与り知らない自分の部分に宗教というものが関わってくるのではないかとも考えている。与り知らないのだからそこは神の領域であり、人間なのだから、人類としての真理が存するであろう。神の下に個人は私自身を自由に追求していく権利がある。ーてな最近の考えが補強される読書だった。2021/02/27

kokeko

2
泉谷閑示の著書から至る。2章が一番読みたかった部分だった。根付かない民主主義を戦後30年に危機感を持って書かれているのに、問題意識がないままに迎えている70年目!大人年齢の一人として焦る。 キリスト教を前提としていて、やはりわからないところがある。「罪」のあたりも私はまだ咀嚼できていない。2015/08/25

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