内容説明
社会システムが八方塞がりになった日本。そのなかで、元気で楽しく生きる希望と考え方を示す秀逸なエッセイ。
目次
人は死ぬ
人生を流れる時間
がん検診は受けない
親はあっても子は育つ
人はなぜ怒るのか
未来のことはわからない
人はどこまで運命に抗えるか
自殺をしたくなったなら
強者の寛容について
病気は待ってくれない〔ほか〕
著者等紹介
池田清彦[イケダキヨヒコ]
1947年、東京生まれ。東京教育大学理学部卒業、東京都立大学大学院生物学専攻博士課程修了。早稲田大学国際教養学部教授。構造主義科学論、構造主義生物学の見地から、多彩な評論活動を行っている
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のほほん@灯れ松明の火
12
著者のお顔を思い出しながら読めるのって、なんだか親近感があっていいなぁーと思いながら読みました。死とか病気に対する漠然とした恐怖感のようなものが、小さくなった様な気がします。 2011/11/18
Uzundk
8
情緒に振り回されない捉え方が必要だと言う事を教えてくれる一冊。全体としては人間の作った仕組みの速度に、人間の習慣が追いつかない故の問題を取り上げ(道徳や政治に近いところ)、なるたけ身も蓋も無い感じに語られている。個人的には大変楽しく読んだ。 特に脳死からの臓器移植に反対なのも"感謝が強要される"可能性を内包する故に仕組みとして立ち上げるなら再生医療や人工臓器の方が筋が良い(臓器移植を否定するわけではない)と言う見解を読んで納得。理性を信奉するわけではないが、情緒に囚われすぎないように意識をしていきたい。2016/03/02
眠り猫@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
8
最近テレビでもよくお見かけする池田先生 実はすごい方なのよね とっても頭のいい人で、書いてることも小難しいところもあったけど、それを平素な言葉でオリジナルに語っちゃうところが、また池田先生らしい たま~にやさぐれた感じもいいよね 特に第一章の出だし、「やがて自分も死んでしまうんだと思ったら、恐ろしくて涙が出てきた経験をお持ちの方」ってとこで、ハイハイッ!って手を挙げそうになったんですよ そんな時も、元気で楽しく気楽に生きようぜ~って先生からのメッセージがたくさんつまった一冊でした2011/09/15
阿部義彦
7
構造主義生物学の見地に立つ著者の身も蓋もないエッセイ。養老孟司さんとは虫取り仲間でもあり虫に関する話題も多く、また現在の医療制度及び、ターミナルケアに対する意見は、ご自身の父親の死に際を例にとり、かなり辛辣です。曰く老人の病気は治される為に治療されるのではなく金儲けの手段として治療されるのだ。早く死んでもらっては困るのだ。しぼれるだけ金をしぼりとられた後でしか死ぬ自由は残されていない。私が父の立場だったら、気が狂ったに違いないと思うが、父母兄弟気が狂わずに代わりにボケた。人の死亡率は皆100%である。2015/11/28
るーしー
4
ほんまでっかTVの社会生物学者さんの著書です。顔を見れば、あの人か!となるはず。バラエティ番組に出ている学者さんなんて胡散臭いと思って読み始めましたが、予想をはるかに裏切る良書でした。なぜブックオフで100円コーナーにあったのか不思議なくらいです。時に過激な主張も、己の感情(希望)を挟まない正論だから受け入れられます。人生や社会に関する様々なもやっとした問題を、「身も蓋もなく」痛快に考察します。2015/11/04