ベトナムから来たもう一人のラストエンペラー

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  • サイズ B6判/ページ数 309p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048838283
  • NDC分類 288.492
  • Cコード C0095

内容説明

王位を継ぐ代わりに、祖国解放の独立運動に身を捧げたクォンデ。革命家ファンボイ・チャウとの運命的な出逢いによって、一九〇六年日本を訪れる。犬養毅や玄洋社の頭山満、新宿中村屋相馬愛蔵・黒光夫妻ら、留学生を支えた日本人との交遊、そして満州国建国に奔走したアジア主義者大川周明、松井石根の暗躍―。「僕らの王子は日本に殺されたようなものなのに、どうして日本人は誰もそのことを知らないのですか」ひとりのベトナム人留学生の呟きに導かれ、日本に憧れて翻弄されつづけた王族の数奇な生涯が鮮烈に甦る。

目次

第1章 クォン・デへの旅立ち
第2章 革命家ファン・ボイ・チャウ
第3章 黒幕組織、玄洋社
第4章 革命の王子、待望の訪日
第5章 日本からの脱出
第6章 漂泊の日々
第7章 憧れ続けたベトナム

著者等紹介

森達也[モリタツヤ]
1956年生まれ。ディレクターとして、テレビ・ドキュメンタリー作品を多く制作。98年オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画「A」を公開、ベルリン映画祭に正式招待され、各国映画祭でも高い評価を受ける。2001年「A2」が、山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞する
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

samandabadra

4
1906年ベトナムの解放を目指す革命家ファン・ボイ・チャウを追って来日し、それから45年もの間、放浪の生活を送ったベトナム阮朝の始祖の直系の子孫クォン・デ(1881-1951)の生涯をつづる物語。すべてが綿密に編まれた事実だったら良かったのだが、あとがきで作者が作為的に書き加えたところがあると正直にいっているため、どれが真実でどれがそうではないのかよくわからない。もともとドキュメンタリー映画を撮るのが専門という方らしいので、ドキュメンタリー(よりももっとフィクションが入った?)映画としてみるのが正解か? 2009/06/05

Uz あなぐま

2
とても不運な人だった、結果的に若い情熱で人生を狂わせ報われなかった。革命の英雄としては凡庸であり、努力も覚悟も足りなかった。それでも植民地支配の苛烈さに行動を起こさずにはいられなかったのだろうし、その気持ちは本物だったのだろう。取材の終盤ベトナムでグェンについての記憶が消えかけているという展開には驚いた、まさに歴史は勝者が作る。教育の大切さと、共感や想像力を無くした集団の残酷さは、繰り返し思い出さなくてはいけない。2019/06/23

gokuu

2
仕事用。阮朝の皇帝候補だったクォン・デの生涯を追った本。作風なのかもだけど、明らかに創作を混ぜてるところ(ご自身があとがきで言ってる)や心情についてまで踏み込んで書いてるところなど、ノンフィクションとしてどうなんだろ?と思うところは多々あったけれど、クォン・デ自身はやはり興味深い。ベトナムと日本の近代史を考えるのに忘れてはいけない人。2014/10/25

ワッピー

2
日本では忘れられたベトナムの王族クォン・デを追って、時をさかのぼり、ベトナムに渡り、そしてそこでその墓を見るまで、一気に読んでしまいました。列強の国策に翻弄され、40年待ち続けて、独立の夢かなわず、故国に帰ることなく亡くなったクォン・デの悲劇。アジアの近代史ということで、目からうろこの事実がいっぱいありましたが、護衛のフィクションは罪だねぃ。あの部分を見てこの本を読もうと思ったんだから。2011/11/05

Ryoichi

1
時代の光にあてられない人にだって物語はある。非常に人間臭いとこが逆におもしろい。2023/02/22

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