星に降る雪/修道院

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  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048738385
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

もう一つの世界へと誘う白い雪、遥か宇宙を超えて地球に届く素粒子の燦めき──。

これを見るために、おれの眼はある──。
死と生、愛と憎悪の葛藤のなか、生き延びるために遺された者が自ら選んだ超越体験。この世ならぬものを心に想った二人の男が、二つの星をめざした短篇集。

『星に降る雪』
岐阜。かつて雪山で起こったあの事件。記憶を封印するかのように、田村は、山奥の観測所にこもり働いている。ある日、亡くなった親友の恋人が訪れ、二人は山に登る。あの時、何があったのか。記憶は、白い闇だ――。

『修道院』
クレタ。ふらりと島に現れ、村に住みついた石工。彼は、修道院の修復をしながら、寡黙で質素な生活を送るが、ふとした折に告白する。自分は魂に重い荷を背負っている、と。その夏の日曜の午後、馬車に乗った都会の女が村に現れ――。

内容説明

男は雪山に暮らし、地下の天文台から星を見ている。死んだ親友の恋人は訊ねる、あなたは何を待っているの?岐阜、クレタ。二つの土地、「向こう側」に憑かれた二人の男。生と死のはざま、超越体験を巡る二つの物語。

著者等紹介

池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年北海道生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

147
『君のためのバラ』しか読めていない池澤さんですが、本作もなかなか独特な雰囲気の2編からなる短編集でした。読友さんのレビューに書いてありましたが、確かに村上春樹臭がバッチリ漂いますね。『星に降る雪』は和風な、『修道院』はガッチリと洋テイストな作品でどちらも失われたモノを追い求め、とらわれる話です。セクシャルな描写がそれぞれの作品で綴られていますが、どちらもその場面がある意味、ターニングポイントになっているのかなと。どちらにしても、ちょっと背徳的な春樹さんって感じの作品を読めた気分で、たまにはいいかなと。2019/11/04

マリリン

42
地上の日々には意味がない。それはただ正しい方法で旅立つための準備の時間で、だから人はただ待つしかない...理屈で捉えると混迷するこの言葉から、作品の深淵な世界を探る。人間に宿る身体の感覚は言葉で言い表せないのかもとふと思う。雪や風等自然の現象に直面した時は尚更。「修道院」は罪と欲望の狭間を揺れ動く若い魂が何とも言えない情緒を醸し出す。悦びの中で、溺れ縋り、心を曝け出す魂。エレニの語りという形が物語の激しい感情の葛藤を柔らかに包み込む。2作品とも文頭で引いた言葉が絡んでいる気がした。2022/05/05

きさき

19
★★★☆☆:「星に降る」は完全なる村上春樹。二作ともロマンチックで、神話っぽくて良かったけど、やっぱりセクシャリティの描き方がね。女性をものとしか捉えてない感じで、不快だった。ということで星三つ。2019/10/11

kaida6213

10
ニュートリノを星に降る雪に例えるセンスは流石ですが。感想の書きにくい本。。2014/03/16

ユカ

4
文体というか全体に漂うキザな感じ。(キザ、って久しぶりに使った。)「星に…」はそれが鼻についたので「修道院」から読んだ。この “人から聞く話” 形式は好きだ。さらにフランチェスコばりの礼拝堂修復。好き。キザに慣れてからの「星に…」。神岡が出てきた。現地を知っていると話に入り込みやすい。女の人が現実的で俗で、ワケの分からないことを言う(私には理解できず)主人公とバランスがとれている。総じて2つとも面白かった。2020/07/09

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