内容説明
刑部小十郎の仕える仙石藩と、隣接する島北藩は、かねてより不仲であった。仙石藩藩主・義敬が、江戸城内で起きた桧事件で島北藩に顔を潰されたのをきっかけに、正木庄左衛門は、藩主の汚名をそそぐべく御長屋を飛び出し、中間として島北藩の江戸藩邸にもぐりこんだ。義憤にかられて暗躍する剣豪の朋輩とは対照的に、その助太刀をいいつけられた小十郎は、小道具屋「紅塵堂」に寄宿しながら、そこの一人娘ゆたや雲水の賢龍らとともに、のんびりと町屋暮らしを堪能していたのだが…。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949年、函館市生まれ。95年、「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞。ほかに『深川恋物語』(吉川英治文学新人賞)、『余寒の雪』(中山義秀文学賞)、など多数の著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さなごん
25
ゆたさんはほかの作品にも出てたよね?なんだっけ。藩命という言葉に振り回された男たち。特に小十郎。でも、最後の最後で自分で決められたのが良かった。2015/12/29
ふじさん
16
史実に基づいた、ほろ苦く切ない時代小説の青春物語。一味違った宇江佐真理を知りことができた。 2020/03/01
rokoroko
10
あだうちに加勢するため町屋にすむ武士。今新聞で連載されている浅田次郎の話と重なるので面白く思った。2019/05/05
コージー
10
小十郎が藩の都合、父の都合で翻弄され、それでもいろんな人に支えられ、自分の道を見つけていく、そんな物語。やっぱり武士も大変だったのだな。ゆたと一緒になれて良かった。2017/04/16
kazukitti
8
南部と津軽のアーダコーダの史実の事件をベースに架空の藩での事件にして、ソコに巻き込まれた架空の主人公の人生のクライマックスにしたって感じかしら。宇江佐さんのはナンダカナーな主人公とかヒロインが多い印象なんだけどw、小十郎はそういうことはなく、ただ、まぁこう覇気に欠ける今風(江戸でなく現代のw)の若者ってことなのかな。事なかれ主義ってんじゃないにしても、お家の事情に流されつつ不満があっても親父に頬桁張り飛ばされたらシュンとして、結局「死んだふり」なんて嘯きながらも唯々諾々と従うってのは、男らしくはないよねw2022/06/25