内容説明
１８１１年シャム王国、メコン川流域。生まれてきた双子は向き合ったまま胸でつながっていた。医師は二人を切り離す方法を検討するが、命の保証はない。二人はつながったまま生きていくことになった…。船上で過ごした子供時代、ラマ国王から寵愛を受けた時代。そして金もうけをそそのかされアメリカへ売られた二人は、興行師とともに見世物として一世を風靡、ヨーロッパではヴィクトリア女王やロシア皇帝の前でも芸を披露。未知の国々、名声、そして差別と偏見。旅路の果てに、３１歳にして出会った、イェーツ姉妹との奇妙な結婚生活、そしてそれぞれに子供を授かり、親ともなった。しかし常に、永遠に叶わぬ望みが二人にはあった…。別個の人格を持ちながら、片時も離れられない運命を生きたある兄弟の愛と哀しみ。まさに数奇というほかない人生の重みと深みに光をあてた、圧倒的ノンフィクションノヴェル。
目次
出会い
シャムの家族
イェーツ家の姉妹
ラマ国王
ふたつの求愛
シャムの悲しみ
ウィルクスボロでの結婚
初夜の神秘
航海
新婚生活
名声と揺れる心
触れ合った手
有名人
心の安らぎ
バーナムと自由と
連邦脱退と再建
最後の旅
ノースカロライナの第一日
著者等紹介
ストラウス，ダリン［ストラウス，ダリン］［Ｓｔｒａｕｓｓ，Ｄａｒｉｎ］
１９６９年生まれ。ニューヨーク大学卒業。「ＧＱ」「タイムアウト」のほか、多数の文芸誌に短編作品を発表
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
10
図書館本。知らない作家の知らない本を棚から抜いたら、もう戻せなかった。1800年代のシャム、そして新大陸アメリカでよくぞ生き延び、結婚して子を成し60過ぎまでの生涯。程が過ぎるほどの運命共同体、数インチ以上離れることは不可能、死ぬるときもまた同じ場所で。できれば実際の彼らの暮らしに良きこともたくさんあったと思いたい。2017/12/04
しき
8
『暗黒館の殺人』で知ったチャンとエン。上下2段組で予想外のボリュームに手こずった。自分が結合双生児だったら…と考えずにはいられない。プライバシーゼロの人生って…。自分が一人であるという、今まで当たり前だったことに、深い感謝と感動が起こる。彼らを見世物にする当時の社会感覚にも驚いた。2011/06/17
すけきよ
0
生まれたときから常に弟とつながったままで、誰よりも彼を愛し、憎悪してきた人生。全てが人と人との関係。しかし、彼らは決して別れることはできなかったのだ。ラスト間際、人生最初で最後の兄弟喧嘩は痛切。2005/06/06
