角川SSC新書
まやかしの安全の国―原子力村からの告発

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  • サイズ 新書判/ページ数 206p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784047315600
  • NDC分類 543.5
  • Cコード C0295

出版社内容情報

巨大事故は人間の思い込みから起こる。安全な原発はありえるのか!

日本原子力研究所で35年、原発の安全性について研究してきた著者が、日本のような国が原発を持つことの危険性を説く。巨大事故の多くは小さな人的ミスから起こるという事実に、どう向き合えばいいのだろうか。

内容説明

日本原子力研究所で35年間、原発の安全性について研究をしてきた著者は、「重大な事故は想定外の事象のより、想定外のプロセスを経て現実に起こりうる」と長年訴えてきた。しかし、その警鐘は黙殺されてきたという。今回の福島第一原発事故では、3月20日以降の原子炉内再溶融の可能性を指摘。だれも本当のことを言おうとしない原子力村で闘ってきた著者が、覚悟と能力を持たない国が原発を持つことの危険性を説き、安全に廃炉にし、核廃棄物を低減する方向への転換を提言する。

目次

第1章 この国に原発を持つ覚悟と能力があるのか?
第2章 この国の原発安全対策は誰がしてきたのか?
第3章 安全神話はいかにして作られたのか
第4章 データ分析して見えてきた福島第一原発事故
第5章 過去の事故に学ぶこと―スリーマイル、チェルノブイリ、そしてJCO
第6章 原発の安全と安心
第7章 「軍隊」のない国が原発を持つということ

著者等紹介

田辺文也[タナベフミヤ]
1945年北海道小樽市生まれ。工学博士。(株)社会技術システム安全研究所長。京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻博士課程単位取得中退。京都大学基礎物理学研究所非常勤講師を経て、’75年日本原子力研究所入所。日本原子力研究所人的因子研究室長、日本原子力研究所研究主幹、日本原子力研究開発機構上級研究主席を経て現職。日本原子力学会、日本人間工学会、日本認知科学会会員。原子力安全性研究に携わる中で、スリーマイル事故、チェルノブイリ事故、JCO臨界事故の事故プロセスおよび事故原因を物理、技術、人間、組織、社会の統合的視点から解析してきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

6
3.11から10ヶ月後に出された本。自身が「原子力村の片隅に住む住民」と書くように、原研職員として人的要因の研究をしており、JCO事故についてはかなり批判的な発言をして、推進事業体から訴訟をちらつかされて脅される経験もおありだという。「忸怩たる思い」「遅かったか」の思いで、日本の原子力技術・行政の問題点を指摘している。部分的には首肯できないところもあるが、こうした科学者としての良心を持った人にこそがんばって欲しいと思った。そしてこうした人を「飼い殺し」にすることこそ「原子力村」の本質ではないか。2015/06/19

壱萬弐仟縁

2
「日本人は『安心』=『絶対安全』ととらえています。生活の中のあらゆるものには、多かれ少なかれリスクがあるといっても過言ではないのですから、本来、絶対安全はありえない話です」(pp.77‐78)。でも・・・という話だ。安全神話の崩壊により、常に疑ってかからねばならない今日、学問は疑いなくして進まないことからしても、原子力に関する学問、安全学は疑いの質が問われるのだろう。2012/04/15

なむば

1
久しぶりに原発の利用の余地を見せない純反対派だった。原子力の安全の部分の研究に携わった人の考えであり、また新たな感覚。2012/11/13

お父さん(松)

0
一番気になった部分はやはりここ。 軍隊が無いと困るのは、重大な原発事故が起きたときに、放射能まみれの現場へ突入する人がいないから。。。という、ハァ?という理由。。。 兵隊さんは命知らずの特攻隊でも、使い捨ての道具でもありませんけど?と。。。 まぁ、そのほか、詳細な情報が公表される前からちゃんと原発の燃料棒やら、圧力容器の状態がわかっていたらしく、それを口にしない原子力村の関係者を非難しています。 うーん、やっぱり情報公開は重要ですな。 2012/03/02

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