- ホーム
- > 和書
- > 新書・選書
- > 教養
- > 角川oneテーマ21
出版社内容情報
「善人」の偽善にだまされるな!ニーチェの「善人批判論」をテキストに、現代社会にはびこる「善人」たちの暴力性を暴く。自らの弱さを武器に、権利を過度に要求し、偽善、欺瞞、嘘をまきちらし、それに気づかない人々。ニーチェの本質が明らかに。
中島 義道[ナカジマ ヨシミチ]
著・文・その他
内容説明
ニーチェの善人攻撃や同情非難は自分自身の内に潜む「弱さ、卑劣さ、善良さ」に対するものではないか。強烈な自尊心と、何をしても上手くいかない諦めを持つ若者たちが数百万規模で発生している現代日本でニーチェがよく読まれる理由がここにある。傲慢と自虐の極致をゆくニーチェから学ぶ、絶対的真実。
目次
第1章 善人と弱者
第2章 善人は安全を求める
第3章 善人は嘘をつく
第4章 善人は群れをなす
第5章 善人は同情する
第6章 善人はルサンチマン(恨み)を抱く
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
哲学者。1946年、福岡県生まれ。前電気通信大学教授。現在は私塾「哲学塾カント」を主宰。東京大学教養学部並びに法学部を卒業。77年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。83年、ウィーン大学基礎総合学部哲学科修了。哲学博士。専門は時間論、自我論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
56
図書館で偶然見つけ借りる。ニーチェ一般向け解説の新書。ニーチェやオルテガを引用し、現代日本の大衆、「善人」を批判していく。著者ののアクを多分に感じ、ネットの匿名文化などのことも触れている。辟易するところが多いが鋭さを感じるところもある。後半以降は、ニーチェの生涯が紹介されている。俗世間に適応できなかった不幸な生涯のことだ。著者が指摘するのは、ニーチェの極端な中二病的強弁は、自身にない理想のもの、自身は善人そのものであることを自覚していたのだろうと。ああなんと哀しく誠実な、ニーチェ……2017/02/25
ちさと
33
生の在り方を肯定する視点を持っているようにも見えるし、傲慢の極致とも言えそうなニーチェ。中島先生はニーチェを「自分の中の弱さに対抗し、同時に異様なほど怯え、恐れた」と描写する。善人はいかにして卑屈の結晶体かをニーチェの言葉を引用しながら語り、終盤はニーチェの思想と生き方を考察していました。基本的にニーチェはお嫌いなようですが、不器用なところ似てますよね。哲学は主張ではないと思うので、本書は哲学書ではない。ただ片眼をつむって生きていることを、思い知らされる。2019/04/19
shinano
28
辞書にある善人ではない。この本(もしくわニーチェ著作の中)の善人は、弱者ということなのだ。弱者であるがゆえ、共同体内(世間)での孤立や非難回避のための欺瞞、強者への徹底的依存、自分たちを保護する義務と保護される権利の要求行動、その正当化が人間界に蔓延して、弱者たち(大衆・愚民)が知らず識らずに普遍化し固定化している自分たちのためにある道徳観と誤解し、精神的に強くなろうとせずに自分たちの利と安楽(損をせず苦しまないよう)を第一義に生きていることを、ニーチェ作詞作曲、中島義道編曲でうたいあげた揶揄な曲的一冊。2011/06/03
kubottar
23
小さな親切大きなお世話。その言葉を思い出した。良かれと思ってやったことも相手を堕落させてしまうことに繋がる例は枚挙にいとまがない。では悪人がいいのか?いやもちろんそうは言ってない。しかし、善人であろうとすること自体、何か歪んでいくのかもしれない。この本は、善人に対する考え方を違った角度で教えてくれる本だ。まあ、善と悪、たった2つに分かれるだけの単純な世界ではない。むしろその2つだけしか考えられない硬い頭を変えてくれる本だと思う。2019/07/27
ふらん
21
「正直者が損をすると嘆く者がいるが、それが嫌なら正直者を止めるしかない。何の努力もせず、世の中を嘆いてみたところで、何の意味もない。ただ頭の悪さと卑劣さを晒すだけである」…中島先生節炸裂。抉ってくるなあ。2015/05/29