角川oneテーマ21
物語論で読む村上春樹と宮崎駿―構造しかない日本

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  • サイズ 新書判/ページ数 253p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784047101999
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0295

出版社内容情報

母性に満ちあふれた女たちと成長を拒否する男たちがつくる物語とは?
明治期の近代文学のはじめから村上春樹、宮崎駿の『崖の上のポニョ』まで、なぜ登場する男の子はみんないつまでたっても子供のままなのか?日本文学に通底する男たちの「甘えの構造」を鋭く分析した刺激的な評論集。

【目次】
序 構造しかない日本
第一章 80年代における「文学」の『スター・ウォーズ』化について
第二章 『羊をめぐる冒険』の「僕」はいかにしてルーク・スカイウォーカーとなったか
第三章 宮崎駿は『ゲド戦記』を何故、嫌悪するのか
第四章 ポニョの母親は何故巨大なのか
終章 もう一度、「構造しかない日本」について
補論(あとがきにかえて) 『1Q84』と村上春樹の再『スター・ウォーズ』化

内容説明

暴走する「物語メーカー」に「欠損した私」を委ねてはいけない。少なくとも「構造しかない」物語にこの国全体が「とてつもない日本」という空虚な意味を補填し、日本が世界に届いたと思い込むことだけは止めた方がいい。何も届いていないし、届けてしまってはいけないのである。9・11はアメリカ、ないしはブッシュという「物語メーカー」の暴走としてあり、そこに日本人は「欠損した私」を委ねてしまったことは忘れてはならない。

目次

序 構造しかない日本
第1章 八〇年代における「文学」の『スター・ウォーズ』化について
第2章 『羊をめぐる冒険』の「僕」はいかにしてルーク・スカイウォーカーとなったか
第3章 宮崎駿は『ゲド戦記』を何故、嫌悪するのか
第4章 ポニョの母親は何故巨大なのか
終章 もう一度、「構造しかない日本」について
補論(あとがきにかえて) 『1Q84』と村上春樹の再『スター・ウォーズ』化

著者等紹介

大塚英志[オオツカエイジ]
1958年生まれ。まんが原作者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

i-miya

46
2011.10.30 (副題)-構造しかない日本。(本文) 序 構造しかない日本。 ◎三つの文学カテゴリー。 大江健三郎。 ◎川端康成・村上春樹・大江健三郎は海外に伝わったのか。 ◎物語構造の徹底によるグローバリズム化。 文学のグローバリズム化=物語の構造化。 ◎十五年戦争下と同じ「日本」の届け方。 2011/10/30

ころこ

20
著者お馴染みのサーガ論です。村上春樹の小説や宮崎駿のアニメが、キャンベルの『千の顔をもつ英雄』で説明される神話の構造に範をとっているということを論証しています。宮崎吾朗の『ゲド戦記』において、作品の外側にある父宮崎駿との父の物語メーカーとして機能しているという、物語の構造がメタ構造になっていることを読み取ったのは流石です。著者がこの論点を繰り返し論じるのは、主体を解体するはずのサーガ論が、あまりにもベタな構造を繰り返すことにより、「国民国家」に代表される、もはや無効と思われた自己実現を強化する方向に加担し2018/04/04

佐島楓

12
「ストーリーメーカー」と重なる部分が多い。こういった分析の仕方は特に春樹ファンには受け入れられないのではないのだろうか。2011/10/16

10
村上春樹作品は少し読みましたし、宮崎駿作品はほぼ観ているけれど、どちらも「自己実現するのは女の子」という共通点があるのにはびっくり。確かにジブリ作品は女の子が主人公の作品多いなとおもってたけど言われてみれば。。宮崎駿作品の中で個人的に1番意味がわかってない『崖の上のポニョ』、もう一度観てみようかなと思いました。2022/06/03

クロックス

7
村上春樹は「構造」しかなかったから世界に受け入れられた。まぁ一つの「解釈」としては成り立つ。なら、他国にも少なからずあるであろう「構造」だけの文学が日本に受けているのか?といったらそうではないであろう。欧米にも「構造」だけの文学があるのに関わらず、村上春樹を何故読むのか?「構造」というのは全世界的に共通しているとしても何故わざわざ外国文学である村上春樹を読むのか?この質問にこの本は答えてくれないであろう。だが、この本を読んで考えさせられること、学ぶことも多かった。2009/11/17

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