内容説明
“私が私ではなくなってゆく日々”を生きる老人。そして“老い”がもたらす圧倒的現実に翻弄される介護者。互いに相手を思いやりながら、なぜケアの場は歪み、両者の関係は抜き差しならぬものになってしまうのか。複雑な感情に彩られた高齢者ケアの“親密な空間”を、老い衰えゆくことに固有の社会性として発見。柔らかく老いを支える社会制度を、介護の現場から展望する。
目次
序章 できたことが、できなくなる―“どっちつかずの人たち”の心とからだ
第1章 「できる私」へ囚われるということ―生き抜くがために自らを守る
第2章 できなくなっていく家族を介護すること―過去を引きずって現在を生きる
第3章 夫婦で老いるということ―他者に関係を開きつつ閉じてゆく
第4章 施設で老いるということ―耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ
第5章 この社会で老いるということ―戦後日本社会のなかの“老い”
著者等紹介
天田城介[アマダジョウスケ]
1972年、埼玉県生まれ。立教大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程修了。現在、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。専門は社会学(福祉社会学、医療社会学)。著書に『「老い衰えゆくこと」の社会学』(多賀出版、2003年。第三回日本社会学会奨励賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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