内容説明
かつて妖怪は人里離れた闇にひそんでいた。しかし、闇が駆逐された近現代の都市空間にも怪異は存在し、妖怪は出現する。妖怪はなぜ現れ、何を人間に語ろうとしているのか。学校の怪談などのうわさ話や都市伝説からホラー小説に至るまで、メディアやマスコミの介在によって増殖した現代における怪異譚を、民俗学の立場から考察する。
目次
第1章 妖怪と人間との交流(妖怪の音声;妖怪からのメッセージ)
第2章 妖怪と幽霊(幽冥界;幽霊と妖怪;幽霊の描かれ方)
第3章 都市と妖怪(都市の怪異;東京の魔所;異界との交流;鏡花と妖怪文化)
第4章 近現代社会の妖怪(若者の霊魂観;都市空間の妖怪)
著者等紹介
宮田登[ミヤタノボル]
1936年神奈川県に生まれる。東京教育大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学博士。専門は日本民俗学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mittsko
3
宮田登先生の遺著。90年代のものを中心に集められた論文集。出版の裏事情を、小松和彦先生が巻末所収「解説 宮田登の妖怪論」(宮田民俗学の総括として必読!)で紹介しておられる。それによれば(目次中の最頻出キーワードが妖怪なのにもかかわらず、妖怪ではなく)怪異が書名に選ばれたのは「怪異」に「現代」「都市」の意味合いを重ね合わせようとしたから、との由。 ⇒ 宮田「境界」論への批判は読んだことがあるが、2001年刊の本書から現在まで、民俗学(宗教民俗学、妖怪の民俗学)はどのように発展したのかな… 知りたくなった2023/08/28
竜王五代の人
3
いまいち面白くない本。解説でも言わざるを得なかったのだろうが、何が言いたいのか結論がはっきりしない文章なのだ。かといって、とにかく博覧強記にネタを詰めこんでそれで勝負するというもんでもない。テーマが一つの小論の中でも貫徹してないのだ。水木しげるみたいには売れなかったとぼやくが、それもむべなるかな(そもそもビジュアルな本と比べてはいけないだろう)。昔の人々は、擬音語・擬態語の背後に実体(妖怪)を見ていたというのが収穫。 2023/06/02
syamo
1
都市空間の怪異について境界というタームで説明している。
ありさと
1
ひさびさに真面目な妖怪本を読んでしまった。面白かった。2019/06/29
ヨシツネ
1
面白い2018/01/07