内容説明
王朝美術の代表作として知られる国宝源氏物語絵巻は、十二世紀前半、院政時代に完成したという。源氏物語が絵画化される場合、いずれも好まれる場面は決まっていたが、国宝源氏物語絵巻では独自な場面選択がなされていた。原作にはない場面を描き、誰もが口にできなかった当時の白河院のスキャンダルが如実に風刺されていたのである。そのため、完成後は、白河院の宝蔵に深く秘蔵された。絵巻の成立から、江戸・幕末に及ぶ時の権力者との結びつきまで、国宝源氏物語絵巻をめぐる謎に迫る力作。
目次
第1章 物語絵巻の文法
第2章 源氏物語絵巻の読み方
第3章 源氏物語絵巻成立の背景
第4章 戦国乱世の源氏物語絵
第5章 近世日本の源氏物語
終章 源氏物語絵の神話学