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角川叢書
故事成語の誕生と変容

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  • サイズ B6判/ページ数 203p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784047021488
  • NDC分類 824
  • Cコード C0395

内容説明

日本で現在流布している「故事成語」は、中国の原典にはない文字が入っていたり、意味が反転しているものがある。なぜこのようなことが起きたのだろうか。本書では、「杞憂」「出藍の誉れ」「塞翁が馬」などの具体的な熟語を手がかりとして、中国の百科全書といわれる「類書」(『芸文類聚』『太平御覧』など)に、これらがどのように記載されているかやその変遷を追うことで、故事成語の誕生を明らかにする。古典の中に記された故事が「類書」に採録され、テキストが変容することによって、もとの意味とは分離された成語が誕生する過程を追った画期的な論考。

目次

序章 テキストと言葉
第1章 「杞憂」の誕生―原典からの飛翔
第2章 成語を生み出す母体―中国の百科全書
第3章 「沈魚落雁」の反転―意味の転換はなぜ起こるのか
第4章 「出藍の誉れ」の成立―類書の変容と読書人の変化
第5章 二つの「朝三暮四」―出典と主題のねじれ
第6章 「塞翁が馬」の由来―「翁」はどこから来たのか
終章 テキストの変容と成語の誕生

著者等紹介

湯浅邦弘[ユアサクニヒロ]
1957年、島根県生まれ。大阪大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。大阪大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たま

9
原典での意味と、現在に通じている意味との間にズレのある故事成語を取り上げ、それらがどのような過程を経て変化したのかについて述べた本。その変化に大きく寄与していたのは類書だそうで、その関わり方が非常に分かりやすく説明されています。私はこの本で類書という存在を知ったし、有名な故事成語の原義や成語にまつわる寓話を知れたのも面白かったです。2014/07/09

kenitirokikuti

6
図書館にて。以前、中里十氏のブログに故事成語の俗解と出典元の食い違いは何が原因なのか問うものがあった(まんがタイムKRコミックス『落花流水』は、相思相愛の俗解の含みで名づけされてるのだが、原典では別離のたとえである)。これは「類書」が俗化していった果てにあるものだったんだなぁ。元は皇帝の権威を表す書物だったが、受験や詩作向けの実用事典になっていった。修辞に関わるもんだから、意味が反対になったりするのね。2022/07/13

shouyi.

2
故事成語の意味の変化や文字の異動について考察したもの。見過ごされがちなその理由を「類書」というキイワードで読み解いた良書。著者の丁寧な仕事ぶりに感動を覚えた。2018/12/14

とりもり

2
故事成語は、古典の一部を引用して誕生しているというイメージがあるが、実は原典とは表現や意味が異なる事例があり、その変容に「類書」という著名な書籍からの引用を網羅した百科事典的な書物が大きく関わっていることを明らかにする。「類書」というものの存在自体知らなかったし、故事成語の中に意味が変容しているものがあることは知っていても、その過程をこうして追ったことはない。その意味で、非常に興味深い本だった。もっと多くの意味が変容した故事成語と類書の関係を知りたいが、そんなものがまとまった本はないかしら? ★★★★☆2015/05/09

suzuki-takefumi

1
杞憂、沈魚落雁など、原義と意味が反転したりズレがあったりする故事成語について、その原因の一端を「類書」に求めて考察している。そもそも類書について知らなかったので、そのあたりはなかなか面白かった。2010/10/26

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