出版社内容情報
絶望的貧困を生み出すグローバル競争社会の中で、敵/味方という根源的な政治原理をも突き崩して増殖する現代のテロリズムとは何か。危機と暴力の最悪の事態に対処し、回避する「知の理論」として政治学を読み直す。
内容説明
現代のグローバル社会の歪みが噴出した9・11テロ事件―。テロルはもともと「恐怖」を意味するが、私たちの生活は文字通り、テロルの影の下にある。「だからこそ政治の出番ではないか」。元来、政治とは暴力と恐怖をもって民衆を支配するものであるとともに、暴力や死の恐怖が氾濫する危機的事態を回避する知恵でもあった。ホッブス、マキアヴェッリにまで遡り、民主主義や主権など、危機的現実の中でこそ要請された政治的概念の誕生と歴史的変遷を検証。丸山眞男の偽善論を核に、「政治的なもの」の現代的意義をソシュール/デリダの言語論やジジェクの資本主義論によって実践的に読み解き、再構築する。
目次
テロルの構造―いま世界で起こっていること
第1部 自発的服従から自己犠牲へ(敵対性の組織化―暴力・恐怖・秩序;兵士は「どこ」にいるのか―敵対性の現場の法的ステータス;自己犠牲のイメージ―絶対的現状容認と戦場への渇仰)
第2部 政治の原風景(無内容の発見―政治学の原理論のために;偽善のすすめ―敵対性への応答;擬制としての公と私―「脱臼」した個別の生を縫合する政治的地平;脱理念化された民主主義のための政治理論―現代政治理論のフロンティア)
著者等紹介
布施哲[フセサトシ]
1964年生。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。エセックス大学政治学部・博士号取得。現在、名古屋大学大学院・国際言語文化研究科准教授。専門は、現代政治理論、イデオロギー分析、思想史、現代思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい