角川短歌叢書*塔21世紀叢書
葦舟―河野裕子歌集

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  • サイズ B6判/ページ数 212p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784046217509
  • NDC分類 911.168
  • Cコード C0092

内容説明

五十年、全力で歌を作ってきた著者の、渾身の第十四歌集。

目次

二〇〇五年(鯉;陽がわたりゆく ほか)
二〇〇六年(海彼より;菜の花 ほか)
二〇〇七年(故よし問ふな;落葉焚き ほか)
二〇〇八年(黄の蝶;さうさなあ ほか)
二〇〇九年(眠らう;冬の蜘蛛 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

106
『母系』に続く河野裕子晩年の歌集。読み手の心を激しく揺さぶる素晴らしい歌集だった。この歌人の言葉は熱く、重たい。短歌という短い形式の中に自分の存在の全てを詰め込んで、一読忘れられないような作品を作り上げる。この歌集では後半になると、病気との闘いが多く表現されるようになり、読んでいると胸が苦しくなった。病気には勝てないと思いながら、それでも気力を振り絞って歌を作り続ける。歌がこの歌人の支えであり、歌を詠むことで自らの命を支えた生き方に力強く励まされた。「一日に何度も笑ふ笑ひ声と笑ひ顔を君に残すため」2018/03/08

双海(ふたみ)

7
再発した癌と正面から闘い歌を作り続ける著者の、迢空賞を受賞した『母系』に続く第十四歌集。「これからも今までのように全力で歌を作っていく。これは、誰とでもないわたし自身との約束なのだから」。「誰からも静かに離れてゆきし舟 死にたる母を葦舟と思ふ」「家、財産よりも大事なひとがゐることが大事、真水のやうな娘のことば」「葉を描くにみどりの絵の具は要らないと絵を描く姪が教へてくれぬ」「はつかなる風のあるらし陽の方(かた)へさくら花びら透きつつ流る」2023/06/23

ゆき

5
難しい短歌が多くてゆっくり読了。再読したい1冊。家族への思いや闘病中の思いが込められた短歌からは様々な場面を想像してしまい涙が出ました。読みながら、何度も読むことをやめようか、と思ってしまった。2012/07/26

ダイキ

3
「酢の色に昏れゆく谷間ひたひたと心は足を急かせてやまず」・「日の昏れはろくでもないよ鍋の蓋裏向きに落ちてうろうろ回る」・「どこをどうふらつきをりし魂か目覚むれば身は米とぎに立つ」「誰も居ない 猫も出払ひ桜だけ咲くだけ咲いて部屋に影さす」・「竹藪は眠ることなし戸を閉めて眠るわたしの枕もとに坐(ゐ)る」・「ごはんを炊く 誰かのために死ぬ日までごはんを炊けるわたしでゐたい」・「母の記憶持たざるあなたと持ち過ぎるわれ青いみかんの小袋分け合ふ」・「さやうなら きれいな言葉だ雨の間のメヒシバの茎を風が梳きゆく」2022/11/12

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