内容説明
前作『あかるたへ』から五年。ひとり歩み始めた歳月を四〇五首に詠う―第八歌集。
目次
たまかぎる
夏草
鳥十首
赤のフーガ
金春禅竹に寄す
ははそは
初夏
宇宙樹
快楽
とこしへの人
ネアン
誕生日
五月に寄す
朝鳥
いにしへ
夜半の寝覚め
石に寄す
夏さへ知らず
心の涯
イチローにささぐる頌歌
恋すてふ
山河
永劫回帰
矢絣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
37
#水原紫苑 #短歌 #現代女性歌人展 なかぞらになすな恋とぞ泉湧きみづ飲みたまふ原爆の死者 十年(ととせ)まへ鴨川に見し白鷺が医師(くすし)となりて来たり候 浮舟のたゆたふ末は知らなくにおのれが髪をおのれ切りけり 同性を愛するけもの在りと聴き冬のくちびる水に寄せたり 水上ぐる老いたる薔薇(さうび)病みてのち初めてけふはベッドに坐る 船よ有情の大河をくだれと去りゆけるあくがれびとよわが分身は2016/07/13
桜井夕也
2
「たまかぎるほのかに恋は始まらむ死して少年となりたまふ師よ」「同性を愛するけもの在りと聴き冬のくちびる水に寄せたり」「式三番日月星宿神をあふぐ瞳の後戸の夢」「姦通は神に始まりデコルテのローブに似たる雲泛きにけり」「永遠に宙吊りとなるピアノよりはかなきわれら遊星に炎(も)ゆ」「三日月の鉤(かぎ)ゆ垂りたるしろがねに紐もて首を吊る快楽(けらく)はや」「うつしみのオペラハウスに死のアリアいくたび響き焦がれむとする」2015/01/18