内容説明
明治期以来の百年の短歌史は「“われ”の短歌史」であった。いま「“われ”の短歌史」は瀕死の状態である。これからどうなってゆくのか?次の百年の短歌史を問う佐佐木幸綱の第十四歌集。
目次
二〇〇三年(てのひらのはる;肉体のパーツ;手を振る子供;奈良の桜 ほか)
二〇〇四年(はふはふはふ;雪の夜の酒;モジリアーニの女;しゅるんと ほか)
二〇〇五年(むかしの空;太陽を見上げいる人は;白加賀の枝;透明な神 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
99
俵万智が憧憬の念を抱き、佐佐木幸綱がいる大学に入学をしたという話を知ってから、ずっと読みたいと思っていた歌人です。ここにあるのは人生の後半にさしかかった一人の男の短歌である。病気、病院、老い、生死…日常に混じる、それらのことは年とともに訪れる。だからこそ、うたとして表現したときの重みも大きいのだ。その重さこそが、人生の重さ、歌人としての重さということになるのだろうか。だとしたら…僕にはまだ読むのが早かったのかもしれない。佐佐木幸綱の若かりし頃の歌集を次回は読んでみようと思う。2014/09/07
葛
1
発行:平成17年12月8日 著者:佐佐木幸綱 発行者:田口惠司 発行所:株式会社角川書店 編集制作:角川学芸出版 印刷:横山印刷株式会社 カバー印刷:旭印刷株式会社 製本:株式会社黒田製本所 定価:本体2571円(税別) 装幀:伊藤鑛治2023/01/05
浦和みかん
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2000年代初頭、社会の情報化の流れもあってなのか〈われ〉を問い直すような歌が多い。作りの上では技巧的ではなく、割と名詞節と描写節がくっきりしている歌も多いような印象で読みやすく感じた。2017/02/22
09z1!
0
2005年の歌集、佐佐木氏の息子さんが短歌の講師でEテレに出ておられていましたが、お父さんの歌集を図書館で手にして拝読しました。酒、旅、料理などがお好きなようで、どの歌も角の丸い印象。政治や経済、社会の風潮を批判的に捉えるような歌もなく、友人の訃報にふさぎ込んだり、素直に感じたままを静かに三十一文字に表現された歌集でした。御子息定綱さんの(月を食う)のような尖った作品に心惹かれるのは時代の流れでしょうか。 春日井健の訃報が読まれており、彼の作品を手に取ろうと思いました。2020/12/03