内容説明
『生きて死ぬ智慧』の著者の生命の歌集。
目次
地鳴りのごとく
満月ひとつ
病むほどに
合歓
老人ホーム
青白い孤独
焙烙
秋空高し
残り火
朝刊の匂い
したたりて
遠き家鳩
花
薔薇の汁
膝
けだもの
失望
ひとつこと
柘植の櫛
狭心症
馬の眼のかげり
魂を研ぐ
富士
月をちぎって
悲しいことを
白い椿
蜂蜜バター
残菊乱る
年は流れる
かそけきものを
耳をまるめて
緑陰
とろりまどろむ
葉擦れの音
蝉
おくれ毛
紅葉の一葉
阿古屋貝
遊びならずや
ほうとう
ベージュの空
シェルカメオ
白きメシア
カフスボタン
シュ・ア・ラ・クレーム
萩
赤き月
鰯雲
在りたき願い
深く埋めよ
老いの無惨
畑
海鳴りの音
黒き水泡
魚の気持ちで
津波
羽虫
苦しみの棘
すぎゆきて
睫毛パーマ
夾竹桃
ゆうらゆうらと
油蝉
神のなき世に
しずしずと
クラシックジャズ
青磁のかげり
冬の日だまり
生への希求
山茱萸
G線上のアリア
福寿草
口紅
仔鯨
椿の照り葉
物食う人
砂丘の砂
残り火
夢幻の炎
著者等紹介
柳澤桂子[ヤナギサワケイコ]
昭和13年東京生まれ。35年お茶の水女子大学卒。38年ニューヨーク・コロンビア大学大学院博士課程修了。Ph.D.を得て帰国し、慶應義塾大学医学部助手。46年三菱化成生命科学研究所副主任研究員。48年理学博士。50年主任研究員。58年病気のため同研究所を退職。寝たきりとなるが、セロトニン欠乏症であることがわかり、起きられるようになる。61年から闘病生活のかたわら、サイエンスライターとして執筆をする。同年「音」に入会して短歌を始める。平成5年『卵が私になるまで』で講談社出版文化賞科学出版賞、同年『お母さんが話してくれた生命の歴史』で産経児童出版文化賞、7年『二重らせんの私』で日本エッセイスト・クラブ賞。11年日本女性科学者の会より功労賞。15年お茶の水女子大学より名誉博士。19年『文藝春秋』読者賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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