内容説明
日本中がバブル経済を謳歌する昭和63年、業界誌記者のタク、地上げで名を馳せる不動産会社社長のマサ、そのメインバンクの担当者で大手都銀の銀行員・ケンは、2度目の運命的な再会を果たした。マサとケンのいびつな関係は、やがて銀行を舞台にした未曾有の巨額金融詐欺事件を引き起こす。不正はなぜ止められなかったのか?バブルに踊り、不況に翻弄された人間たちの、弱さと組織に生きる苦悩を描いた巨編、ここに完結。
著者等紹介
江上剛[エガミゴウ]
1954年、兵庫県生まれ。77年、早稲田大学政治経済学部卒業。第一勧業(現みずほ)銀行に入行し、2003年の退行まで、梅田支店を皮切りに、本部企画・人事関係部門を経て、高田馬場、築地各支店長を務めた。97年に発覚した第一勧銀の総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾とコンプライアンス体制確立に尽力、映画化もされた高杉良の小説『呪縛金融腐蝕列島2』のモデルとなる。銀行在職中の2002年、『非情銀行』でデビュー、以後、金融界・ビジネス界を舞台にした小説を次々に発表、メディアへの出演も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tsuyoshi
62
下巻では上巻とは一転して、巨額金融詐欺事件の一部始終を裁判と回想シーンを交互に描いてあった。上からの厳しいノルマや不当な扱いという背景の元に始まった不正が、気付いて欲しいと思いつつもやめられず追い詰められていくまでに至るケンや日野の心理描写が秀逸。内外の誘惑が多いのももちろんだろうが銀行の閉鎖的で陰湿な体質も不正に走らせる要因の一端でもあるんだろうなと思ってしまう。2018/03/24
myoko
5
幼なじみから弱みを握られることで進んでいく巨額金融詐欺事件。上巻でのケンのクズっぷりも下巻に入ると少し同情したくなるような展開・・・だったのに。同情したのがバカらしくなるくらい、どこまでいってもケンはクズでした。さらに突き落とされた気分です。2012/03/12
もてぃこ
1
実際にあった事件をモチーフにしているとは知らなかった。 事件のことを知っていたらもう少し楽しめたかも。 銀行内部のいじめや学歴差別について書かれていて、全てが真実なのか、もっとひどい事実があるのかしれないけど、陰湿でプライドが高くエリート思考の銀行にはありがちだと思った。2009/11/01
カープ好き
0
☆☆☆2015/10/10