内容説明
希望の丘小学校5年3組、通称リョウタ組。担任の中道良太は、茶髪にネックレスと外見こそいまどきだけれど、涙もろくてまっすぐで、丸ごと人にぶつかっていくことを厭わない25歳。いじめ、DV、パワハラに少年犯罪…教室の内外で起こるのっぴきならない問題にも、子どもと同じ目線で真正面から向き合おうと真摯にもがく若き青年教師の姿を通して、教育現場の“今”を切り取った、かつてなくみずみずしい青春小説。
著者等紹介
石田衣良[イシダイラ]
1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEENフォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
192
やられたという感じ。学園物では重松清が先生視点で傑作がある。不思議な作品の仕立てになっている。できそこない先生の中道良太とかっこいい先生の染谷龍一。同期の先生の落差の裏を早い段階で提示している。安直な学園物でないことを示そうとしたのだろうか。発見角川。2013/09/08
扉のこちら側
129
2018年263冊め。小学校の教師が主人公であり、児童との関係、保護者との関係、教師との関係等、丁寧に描かれて話を楽しめる。ひとつ気になるのが親しくなった教師たちが名前で呼び合うようになるのだが、そこだけどうにも学生気分というか中学生のような子どもっぽすら感じてしまった。2018/07/04
ゴンゾウ@新潮部
124
教育問題を扱った作品であるが陰湿さが無くライトな読後感。深刻な問題が発生しても上手く片付き過ぎる。親や生徒が素直に描かれ過ぎで現実の世界はこんなものではないと思うのだが。教師同士が名前で呼び合うのに違和感を感じてしまうのは年齢のせいか。【カドフェス 2017】2018/02/03
りゅう☆
109
良太は考えるより先に行動する若手教師。でもしっかり自分の軸があり優秀な同僚である染谷先生は一目置いているほど。書類仕事の多さ、教室を逃亡する成績優秀な生徒、主任からのいじめで登校拒否する同年代の教師、家を放火した疑いのある学級委員、年度末のクラス競争でリョウタ組を1位にするという生徒の自発性を尊重したいけれども生じた問題。悩みながらリョウタ先生らしく真正面から向かい合う姿が清々しくて、でも彼が発する言葉は深い。若さ故、頼りない面はあるがこんな担任だと嬉しいな。ただ軽い感じの良太の恋愛話はなくてもいいかな。2018/05/19
優希
108
シンプルでありながらも面白かったです。小学校教師の良太が子供と同じ目線で様々な問題と向き合う姿に好感が持てました。学校だけでなく、学校の外でも教師であろうとする良太。常に前向きで一生懸命な教師なのだなと思います。教育現場でここまで真摯に生徒たちのことを考える教師っているのでしょうか。先生と生徒の関係がとても素敵だと感じました。2017/07/08