内容説明
京都千年、洗練された文化の深さにおいて、京都は世界に誇りうる、魅力に満ちた日本の「みやこ」である。京都人の本音やこだわりに鋭い視点で迫り、京文化を支えてきた京ことばを講じる。生粋の京都人にして、民族学の第一人者による、比類のない最良の都市ガイダンス。
目次
1 京都案内(京都へのいざない;京都案内―洛中 ほか)
2 京都の性格(京都という名;儀典都市 ほか)
3 京都の市民(京わらべ・京おんな・京おとこ;京都人を診断する ほか)
4 京ことば(京ことばと京文化;京ことばのしおり ほか)
5 京都点描(映画祭と羅城門;菊池寛著『無名作家の日記』―書評 ほか)
著者等紹介
梅棹忠夫[ウメサオタダオ]
1920年、京都・西陣に生まれる。京都大学理学部卒業。大阪市立大学理工学部助教授、京都大学人文科学研究所教授を経て、国立民族学博物館の初代館長に就任。現在、京都大学名誉教授、国立民族学博物館名誉教授・顧問。理学博士。専攻は民族学・比較文明学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
301
井上章一氏の『京都ぎらい』のバイアスがかかって、どうも虚心に読めないような。それにしても、『京都案内』と銘打ちながら、全篇これ京都大礼賛とは。梅棹忠夫氏の文化人類学の著作はかつて愛読していたが、そこでは極めて冷静に客観的な視座に立っていたように記憶している。本書でも、そうした独自の視点からの京都案内を期待したのだが。ところが、京都のものは全て最高で、京都人以外はみんな田舎者だと彼は言う。世界三大美しい言葉は、トゥールのフランス語と北京語と京都言葉だそうな。もうあきれてものもよう言いまへんわ。2017/05/23
ユメ
39
「京都人の生態案内」というのがしっくりくるだろうか。今では戦前生まれの著者ほど極端な中華思想を持つ人は減っているだろうが、それでも京都人にとって京都人であることが誉れであるのは変わらないだろう。その根拠が、単に京都は歴史ある町だからというのではなく、古いものをきちんと今日まで保存し続けながら、戦乱に遭っても再興を繰り返し、明治維新以降も近代都市へ変革を遂げて生き続けたという点にある、という考えに触れて非常に納得した。確かにそんな町は唯一無二である。これからも「よそさん」なりにこの町の魅力を学んでいきたい。2015/03/03
kazuさん
33
日本の著名な民族学者である梅棹忠夫先生の京都に対する無上の愛が描かれている。先生は京都出身で、三高、京都大学で学んだ。京都観光に来る人は、京都を見せてもらうという心構えで来いと。京都観光で食べている住民はごく一部であり、多くの市民は忙しくて、観光客に関わっている暇はない。京都の町によそ者が入りこんで来るのは迷惑だ。京ことばが世界で一番美しい3つのことばの一つで、さらに、京都では学者らも高度な研究を京ことばで行っていると。先生が完全に失明してからの著作であり、少々、感情的になっているようにも感じた。2024/03/27
風竜胆
10
生粋の京都人である梅棹忠夫氏がイケズな口調で語る京都エッセイw2013/10/26
岡本匠
9
これも伊丹市の小さな古書店の古本市で購入。平成16年初版だけれど元本の角川選書が昭和62年、書かれている内容は昭和30年代頃のまだ市電の走っている京都である。内容的には古さを感じるところだが、京都という都市を知る一助となるのでは。京ことばは無階層的で、市民対等意識に貫かれているとの事。お店の人に対しても上からの発言はあってはならない。これは京都に限らず大事なことだと思う。2019/09/01