内容説明
ウォール街での実績を買われた桂木は東京のM&Aチームに移り、多くの買収案件を成功に導く。一方、“伝説のトレーダー”ソロモンの竜神宗一は、金融工学を駆使して日本の証券市場に旋風を巻き起こす。バブル崩壊後、危険なデリバティブ商品が横行する中、米国投資銀行の幹部となった桂木は、一つの志を抱き、新たな世界へと転進する。世界金融の激変期を、圧倒的なリアリティと迫真の筆致で描ききった、俊英の代表作。
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンス、貿易金融など数多くの案件を手がける。2000年、『トップ・レフト』でデビュー。英国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジェンダー
49
実名で出てる人や実在の人物や会社名が違っても何とくわかるから面白いです。基本的に時代に即して書かれているので金融関係の歴史の勉強になります。こう読んでみると外資系の利益対する貪欲さや日本の法律不備には驚きましたが、でも日本人の投資に対する知識のなさが浮き彫りになっていてそういう意味での理解して業務しているかがよくわかりました。誰かしもが投資する以上は儲けたいし、合併する場合もイニシアチブを取りたいと気持ちはわからなくはないですが、良い時もあれば悪い時もありますし、読んでいて気持ち良かったです。2014/04/14
B-Beat
26
◎邦銀の行員から在米巨大投資銀行に身を投じたある男が主人公。下巻ではバブル崩壊から「りずむ銀行」の国有化あたりまでが描かれる。その男は転職先でかなりの出世をしてみせるが、恩師の「なぜ君は日本のために働かないのか?」という言葉に触発されて、さらなる転機を迎えるという展開。この恩師の問いかけはプロローグにもあってこの「日本のために」という部分に囚われてこの本を読み進めたことに気づく。そのためかバブル崩壊後の日本の富の行き先という観点では、決して満足できる深層あるいは真相までは描ききれていないように思われた。2014/04/27
ヤギ郎
17
日本経済に翻弄されながら強く生きる金融マンの物語。現実の事件や出来事に即して書かれているところもあり、完成度が高い作品である。キャッシュを左から右に動かすことで、莫大な利益を生み出す。キャッシュが動くと同時に、人も動き、繋がりが生まれる。そんなことを感じさせる。日本M&A時代真っ只中で、企業の価値と企業で働く人を考える。本書はフィクションであるが、参考文献から徹底したリサーチが行われていることがわかる。この物語からリアルの事件を調べるのもおもしろいだろう。2020/05/27
Carlos
16
上巻より読みやすかった。そうか、貿易センタービルのタイミングだった。2019/10/12
mitsu44
14
一人の男のキャリアをベースに、バブルからNY同時多発テロまで日本とアメリカの投資銀行業界を垣間見ながら進む本。かなり長くかつ難しい話も出てくるが夢中になって読むことができた。2018/05/18