出版社内容情報
黒木 亮[クロキ リョウ]
著・文・その他
内容説明
総合商社のモスクワ駐在員である小川智は、中央アジアのキルギス共和国に旅客機を仲介する案件を進めていた。しかし、ソ連崩壊後の混乱の渦中にある小国では、国際ビジネスの常識がまるで通じない。難航を極める交渉は、小川の熱意と粘りで一歩ずつ合意に近づくが…。ユーラシアの厳しく美しい自然と、多難な歴史を背負う民族の姿を背景に、国際ビジネスの現場をスリリングに描き出す経済小説の傑作。
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンスなど数多くの案件を手がける。2000年『トップ、レフト』でデビュー。英国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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速読おやじ
7
20代の頃、公的および民間の金融機関で航空機ファイナンスを齧っていたことがあり、専門用語などがとても懐かしかった。僕はそういう意味でこの小説をかなり堪能したのだが、一般の読者にとってはどこがどうクライマックスやねん?と消化不良だったのではないかと。サイドストーリーに盛り込まれていたクルド民族の話や、キルギス運輸省顧問のソフィアとのちょっとしたランデブーがもう少し広がりを見せていたら、と思うのは贅沢なのかな。黒木亮の小説は最後に読者にカタルシスを与えるという肝心なところがときたま弱いかも。2017/04/06
nyanlay
5
中央アジアを舞台にした経済小説。飛行機の契約が伏線になるのかな?それはそれで面白く、興味深かったのだけど、それがスッキリしたと思ったら物語もスッキリしてしまいました。経済がメインだったのか、民族がメインだったのかイマイチ判らなかったのが残念。2017/07/08
よしむら
3
緻密な描写で航空機ファイナンスビジネスの現場を描いている作品。登場人物の愛憎劇などは皆無な作風ゆえ、サラリーマンの活動記録か何かを読んでいるような気持ちになる。地政学や金融のちょっとした勉強にもなります。2019/03/24
naimon
3
飛行機を旧ソ連の小国キルギス共和国に売る物語。契約、資金調達、保険等のファイナンスとそれに付随するトラブル、そして、中央アジアの風景や生活を。 2009/07/18
HA
2
面白い。特にソフィアの儚さが美しく描写されている。最後はあら?という締め方ではあったが、面白かった。特に総合商社の新興国で働く機械部のイメージはかなり付くのでは。2020/04/18