内容説明
宮古島の祭り、パーントゥに参加して、宵闇に異界の怪物に追い回され、泥を塗りたくられる。カンカカリャーと一緒に聖地を辿る。その土地に積み重なった歴史と人々に向き合えば、ホテルに泊まってドライブした島とは、全く違うものが見えてくる。私はずっと旅人でありたい。遠くへ、近くへ、外へ、内へ。沖縄、メキシコ、カンボジア、タスマニア、広島、旅をしながら聴いていたのは、遠くから響いてくる内なる鼓動だった。
目次
旅人の心得
オハルズの神様
石垣島の宝物
みんな宇宙なんだね
天の岩戸伝説の謎
久米島のちんべえさん
ほら、神さまが行く
マースーヤーに行かんかの
神さまに一番近い島
アルタイのギフト〔ほか〕
著者等紹介
田口ランディ[タグチランディ]
東京生まれ。作家・エッセイスト。人間の心の問題をテーマに幅広く執筆活動を展開。2001年に『できればムカつかずに生きたい』(晶文社)で第一回婦人公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
加悦
4
旅人の心得。 旅人は、そこに住んでいる人に敬意をもってお邪魔する、という感覚を忘れてはいけないんだなと思います。 ランディさんの慎ましくもちゃんとアンテナを高くしている姿勢が素敵でした。2021/10/01
Sakie
2
旅にある人は旅人であるのと同時に、日常に戻った旅人もまた、旅人であるのだな。旅に出ない人は、旅人ではありえない。ランディさんは身体で、心で、追求していく。信仰。生きること。伝統。魂。『人は言葉でわかってはいけない。(中略)大切なことは身体と心でわかるのであって、ことばは、わからないために存在している。作家である私は、永遠にわからないために書き続けるのだ』。だから、読んだってわからない。自分でわかるための動機を、示唆を与えてもらうのだ。そのために、私には田口ランディという作家が欠かせない。2014/07/12
ライム絞りマシーン
1
最後の娘さんに語りかける章が良かったな。 自分の事でいっぱいいっぱいな時ほどそう意識できるようにしたい。2020/12/27
joey
0
でも私であり過ぎることは、時として苦痛だ。私は私であることにこだわり過ぎるためにいつも自分を苦しめていたりする。そのことを頭ではわかっているのに、私であることから逃れられない。その時「命」というものを見失ってる。あのおじいさんから私が感じたなにかを言葉にするのはとても難しい。でも、あえて言えば、私はおじいさんに接したことでおじいさんを通じておじいさんの背後にあるとてつもなく大きなものにふれてしまった。それはふんわりと人を包み込み「私」をほぐしてしまう。なんだろう、あれは。私を超えるもの。言葉を超えるもの。2014/09/05
joey
0
私が、と意識しないといきにくい。オマエは誰か?と聞かれて答えられないと焦る。いつも何者かであり続けたいと切望している。そうしないと、誰にも振り向いてもらえない。私が私であることを自己表現することが、私の生き甲斐みたいになっている。それを悪いとは思わない。私であることは楽しい。2014/09/05