角川文庫
グランド・ミステリー〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 460p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784043578023
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

真珠湾攻撃のただ中で起きた海軍大尉の怪死。その謎に端を発する空前絶後の一代ミステリ・ロマン。小説のあらゆる可能性と魅力を極限まで追求した世紀の大作。

内容説明

連合艦隊はミッドウェーで壊滅的な敗北を受け、ソロモン方面の戦局もおもわしくなかった。昭和十八年の正月、亜細亜通商の新社長に就任した彦坂と交際を続ける加多瀬の妹、範子は、数日後、凶弾に斃れることになる作家の古田厳風から兄に宛てた手紙を渡されていた。それは「国際問題研究所」の導師の予言が抹消されつつあることを訴えた異常きわまりない内容だった。一方加多瀬自身の脳裏には、砂に侵食されたヴェネチアの異景が巣くっていた…。戦争小説、ミステリー、恋愛小説、そして…。日本が生んだ、ジャンルミックス小説の大傑作。

著者等紹介

奥泉光[オクイズミヒカル]
1956年山形生まれ。国際基督教大学大学院比較文化研究科修了。『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、『石の来歴』で芥川賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

てふてふこ

13
戦争という非常時。どんな事があっても、また人々の精神が狂うのも、何が「異常」なのか一概に言えない。物語の基礎が戦争なので、パラレルワールドでも幻想でも、もう何でも受入れられてしまう。自分が参戦しレイテやミッドウェーに行ってたなら、早々に精神破壊してる。始めの真珠湾攻撃時の謎は氷山の一角でした。読み手によって印象は様々だろうな。2014/04/14

ネムル

7
呆れるほどに面白い。基本的に大長編はすぐに飽きるせいか好きでないのだが、物語は長ければ長いほど良いという奥泉光の面目躍如もあって、もっと長くても良かったと思える読書は随分久しぶりである。そして本書で描かれる歴史の記述とは何か?という問いは、これが描かれて15年以上経つ今でなお有効だろう。なんにせよ良かった、特に迂遠ながらもスクリューボール・コメディのようにオチる、奥泉のコントロールの良さはアッパレだ。ファム・ファタールの存在がやや中途半端な気もするが。2015/08/15

モリータ

6
下巻読みはじめて2ページ目で「は?」ってなったけど、これ気づかんまま行ってだいぶ後で混乱するパターンもあるよな。戦記SF的にはありきたりなモノ(『ジパング』とか)が(二回目の)事件の発端なので、種明かし自体はフーンって感じだったけど、むしろ友鶴事件とか九軍神とか実在のできごとを仮構に使う意味を考えてしまった。後者は「実際はほとんどあり得ないはずの」個人のドラマが既に仕立てられてしまっているだけに、あえての、というところなのだろうが…冒頭のミステリアスな感じからすると、どうしても拍子抜け、って感じがする。2013/06/13

はまちゃん

2
奥泉光氏の長編ミステリーの下巻。上巻でのミステリー色から、下巻では不思議の感覚の迷路に迷い込んだようなストーリーが展開される。誰が死に、誰が生き、そして何が起きたのか?頭が混乱するなぁ。それでも真相が明らかにされていき、自分なりには理解できたような気が...2018/02/09

miroku

1
現実が個々人で消化される以上小説の中で微妙にずれた形で繰り返されてもおかしくない。2017/01/17

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