内容説明
太古の昔よりイルカたちは画像を送り合って交信していた。そして独自の文化やネットワークを世界中の海に発達させてきた。かつては人間とも交信していたが、その絆は長い間絶たれたままだった。…そして、現代。科学者、ジャーナリスト、マグロ漁船の船長、石油掘削技師と全くタイプの違う四人が海の事件に巻き込まれながら、次第にイルカたちの驚くべき能力と、それによる自らの心の変化に気づいてゆく…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
46
名作『リプレイ』の著者 の手によるSF作品です。 イルカが高度な知性を持っており、イメージを交信の手段として、独特の文化を形成しているという設定です。ありがちなのだけれど、太古の昔から存在する知識の共有体と、それに順応する海洋哺乳類といった世界観は新鮮です。特に、イルカの歴史学者の活躍に見せ場が多くあります。それぞれの苦悩に苛まれる人間界のジメついた話とイルカたちの前向きな姿勢が対比された格好です。本書をとおして、著者のイルカ保護活動の姿勢が表明されているようです。『リプレイ』が良すぎたということかな。 2020/01/21
山猫
16
「危険ないとこ」というフレーズが割と気に入った。
青葉麒麟
8
イルカのあのキイキイ鳴く声じゃ無くて、画像でコミュニケーションをとってるのは凄いな(゜ロ゜)しかし娘の名前が【マリーナ】ってのは安直過ぎないか?2012/01/25
べっちー
5
あのタイムトリップ物の名作リプレイの著者ケン・グリムウッドの作品。 いくつもの多くの登場人物(イルカを含む)の話が並行して進みたいへん読み難くわかりづらい。(これは訳者の力不足かもしれない)ストーリーは欧米人独特のイルカやクジラ崇拝物語、ファンタジーでもSFでもなくただのグリンピース小説。はっきり言おう駄作だ。一発屋だったな。 2021/12/30
nashi
4
イルカは人間とは異なる文明や世界観をもっている、という設定。イルカの視点から語られる部分にはリアリティと説得力があり、面白く読めた。その分、人間の視点からの部分には物足りなさを感じる。人間側の反省が素直すぎて、生き物としての葛藤が感じられないからかもしれない。2011/03/12