角川文庫<br> 死との抱擁

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角川文庫
死との抱擁

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  • サイズ 文庫判/ページ数 431p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784042541516
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ヴェラ・ヒリヤードの死期は、時間と分に至るまで、あらかじめはっきりとわかっていた。彼女は絞首刑に処せられたのだ、殺人罪で。平凡な中流家庭に生れ、幸福な結婚をしたはずのヴェラが、なぜ殺人を犯すに至ったのか?そして、まるで母と子のように仲むつまじかった、妹イーディンと彼女の間に何が起きたのか?作者の精緻な筆が闇の迷宮に踏みいるとき、暗黒の底からある異常な物語が浮かびあがってくる。レンデルが別名義のもとに満を持して放つ意欲作。アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

411
本書はアメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞を受賞していることからも、分類するなら当然ミステリーである。しかし、それは限りなく文学に近いものである。これを良しとするかどうかで作品の評価も変わりそうだ。他の人たちの感想は概ね好意的であるようだが。私は評価したいような、しかし、しづらいようなと微妙なスタンスだ。まず、ミステリーの持つスピード感がない。その代わりに執拗なまでの描写が物語を積み重ねてゆく。また、トポスの証人としての風俗小説(ここでは本来の意味での"風俗"だが)としての価値もあるだろう。さらには、⇒2019/09/19

遥かなる想い

164
1986年ルースレンデルが バーバラヴァイン名義で 発表した作品。 正直すっきりしない 終わり方だった。 叔母ヴェラの殺人に至る までの過去の人生を 追う物語。 やや長すぎる「花園」の 描写が気になる。 英国伝統の全編に覆われる 闇の中から、過去の真実が徐々に明かされる展開は 健在なのだが…ヴェラと イーディーン姉妹の愛憎・ 確執の展開の結末が闇に 残されたままで、 不完全燃焼の印象が強い 終わり方だった(1988年このミス海外9位)2015/09/13

Tetchy

101
ヴァイン名義の作品は家族史を描く作品だ。じっくり丹念にイギリスのどこかにいる一族や血縁の物語をファミリードキュメントの手法を用いて事件を描く。一大家族絵巻をドラマ『渡る世間は鬼ばかり』のように、それぞれの家庭との関係や軋轢、当時の世相が及ぼした家族の状況の変化などを織り込んで語っていく。人に歴史あり。誰しも家族の歴史というものを持っている。人には知られていない家族の秘密を抱えているからこそ、本書もまた更に胸に響く。案外家族のことは家族でも判らないかもしれない。所詮は他人同士で構成されるのが家族なのだから。2023/08/05

NAO

73
妹殺しで死刑となったヴェラ。35年後、二人の姪である主人公はヴェラの息子ジャミーと会い、かつての事件に思いを馳せる。ヴェラと殺された妹イーディス。そして、ジャミー。彼らの間の闇は、女性二人が亡くなってしまったあとでは、もはや解き明かしようがない。一番割りを食ったのは、二人が必死で取り合ったジャミーだったとは、なんとも皮肉なことだ。2020/11/06

扉のこちら側

72
2016年108冊め。【129/G1000】絞首刑にされた叔母の伝奇を書きたいという作家からの連絡を機に、50代の女性が子どもの頃に叔母の起こした事件と一族の秘密の再検証に取り掛かる。冒頭では次々出てくる登場人物の名前と関係性が把握できずにメモをとっていたが、途中でしっかり頭の中でつながるとあとはページをめくる手が止まらないおもしろさだった。幸せに暮らしていた姉妹と、一人の子どもの出生の秘密。第二次世界大戦時の英国の社会背景が事件にも関係しているが、全ては身内内の事件であるが故の切なさがまたたまらない。2016/02/19

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