感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
S.Mori
12
チェーホフが初めてかいた戯曲です。イワーノフと呼ばれる男性が主人公で、彼が若い女性に好意を持たれることで物語が展開していきます。後年の四大戯曲のような繊細な味わいはありません。それでも人物描写の巧みさや苦いユーモアはこの作品の中にもあります。お人好しと思われているイワーノフの心の葛藤に共感して読みました。最後の結婚式の場面はチェーホフらしいです。四苦八苦して自分の良心を貫くイワーノフの姿に、『ワーニャ伯父さん』のワーニャを重ねたくなりました。2019/09/02
ＳＯＭ
2
『桜の園』に続いて読んだチェーホフの戯曲。熱狂のあとの倦怠や憂鬱に疲れきった主人公は、周囲に善人と思われたり金目当ての軽薄な人物であると思われている。イワーノフは根っからの善人ではあるが、考えすぎて実生活に大きな支障をきたしてしまう。彼のどうしようもない行動のひとつひとつが、周りを巻き込んでゆき、結婚というめでたい場面を涙で彩ってしまう一大スペクタクルの様相を見せる。芝居的になり過ぎず、金という現実的な要素を交えながら、説得力のある展開を見せる。悲劇ではなく、人間のどうしようもなさを笑う喜劇だろう。2015/04/07
国重
0
人生に疲れた主人公のイワーノフが妻の病気をきっかけに周囲の人間達から寄せられる好意や誤解など様々な出来事によって徐々に追い詰められてゆく2015/12/06
トム
0
わりと好き。確かに出来は良くないかもしれないが、作者のリボーフへの悪意が心地良い。2020/10/29
