内容説明
一八七二年のロンドン。革新クラブの会員で謎の金持ちフォッグ氏は、仲間と二万ポンドもの賭けをし、八十日間で世界を一周することになる。一秒でも遅れたら全財産が失われてしまう!インドから中国、日本から海を越えてアメリカへ―。手に汗握る、奇想天外、前代未聞の旅がはじまる。
著者等紹介
ヴェルヌ,ジュール[ヴェルヌ,ジュール][Verne,Jules]
1828年、フランス、ナントのフェイド島生まれ。ナントのリセを出たあと、法律の勉強のため訪れたパリでアレクサンドル・デュマ父子と出会い、劇作家を志す。ナダールが製作した気球に触発されて、1863年に刊行した冒険小説『気球旅行の五週間』が大評判となり流行作家となる。H.G.ウェルズとともにSFの開祖として知られる。1905年没
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
301
ヴェルヌといえば、『地底旅行』や『月世界旅行』の著者として、空想科学小説(あるいはSF)の祖といったイメージが強い。私は、これまでは空想の方にウエイトを置いて見ていたが、なかなかどうして相当に科学的でもあり、また極めて広範な情報収集能力を持っていたことは本書において明らかである。1872年の時点での「八十日間世界一周」は、ここに当初示されたルートを使えば可能だったのではないか。また、フォッグ一行は横浜にも立ち寄っているが、明治4年ということを考慮すれば、珍妙さよりもむしろ正確さにはただ驚くばかりである。2015/11/22
33 kouch
46
Audible。「…ならば〇〇ポンドで買いましょう」が決めゼリフのようで清々しい。教訓はお金?と勘違いしてしまう。どんなピンチでもフォッグ氏は冷静沈着。一方パスパルトゥは情熱的で行動力溢れている。ふたりとも魅力的。飛行機がないこの時代。スマホもないので情報も不十分。だからこそ知恵と勇気が瞬間瞬間で試され、ワクワクする。驚きと感動の展開もやってくる。不便さのなかの不測の展開こそ冒険。ラストも勘違い&ハッピーエンドで気持ちよかった。話もコンパクトでとても楽しく聴けた。2024/10/14
きのこ
31
ガーディアン必読20/1000 ヴェルヌの「驚異の旅」シリーズの1冊なんだそうで、嫁は映画を見た!と懐かしがってましたが私にとっては全くの初物。1869年のスエズ運河の開通がヒントになったとか。今では本書のルートは80時間で回れるそうですよ。子供向けかな?と思いつつ手に取ったけど、そんな本がガーディアンに選ばれるはずもなく、1872年作とは思えないルート各地の詳細な描写は旅行記かと見紛うほど。当時の横浜をなぜここまで知っている?とかw 面白かった。ガーディアンを追っかけててよかった。2016/10/12
はる
26
【ハピ・バースディ「SFの祖:ジュール・ヴェルヌ」2月8日】のための図書館本。読みかけたまま、四国に行ったり台湾にいったり…(-7度だったり25度だったり)で時間がかかり過ぎ。それにしてもフォッグ氏一行は、旅行用毛布を身体に巻いて寒さをしのぎ、象で密林を走り、鉄橋は崩落する、船は骸骨になる!ほんとうにみなさん丈夫だわ。ちょうど、【ヴェルヌの『八十日間世界一周』に挑む―4万5千キロを競ったふたりの女性記者】も読んだばかりなので、いろいろ楽しい旅になりました。(飛行機とバスは素敵だ!実感)2015/02/25
うらなり
24
主人公フォッグ氏にとっては、この旅行を経て結果的に素晴らしい伴侶をみつける旅であった。旅は常に計画通りにいかぬものであるが、いつも奇抜な代替え輸送手段を見つけ出し、予定を守ろうとする主人公の冷静な判断と行動力が痛快です。それぞれの各国の寄港地の描写も生き生きとしていてとても150年前の作品とは思えない。今は航空機の時代で 80時間もかからないかもしれないが、列車や船で移動するこのようなドラマはもう生まれないと思うとどこか寂しさを感じます。2020/12/06