出版社内容情報
坂東 眞砂子[バンドウ マサコ]
著・文・その他
内容説明
二十年ぶりに、故郷である高知の矢狗村を訪れた比奈子は、幼馴染みの莎代が十八年前に事故死していたことを知った。その上、莎代里を黄泉の国から呼び戻すべく、母親の照子が禁断の“逆打ち”を行なっていたのを知り、愕然とする。四国八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆に巡ると、死者が甦えるというのだ―。そんな中、初恋の人・文也と再会し、恋におちる比奈子。だが周囲で不可思議な現象が続発して…。古代伝承を基に、日本人の土俗的感性を喚起する傑作伝奇ロマン。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
157
幼い頃を過ごした高知の矢狗村を訪れた比奈子は、幼馴染みの莎代里がとうの昔に亡くなっていたことを知る。四国は死国、頑なに信じる土着の思想がねっとりと絡みつき、仄かに芽生えたもうひとりの幼馴染みとの恋も、死の膨大な力に押し流されてしまう。田舎の閉鎖的な人間関係、いやらしい感じがいやーなぐらい巧妙に描かれていて、話全体に暗い影を落とす。ねっとりじっとり息苦しくまとわりつく視線の数々。圧倒されました。しかし恋のお相手文也くんの頼りなさにはやきもき。大丈夫、比奈子ちゃん、もっといい男いるって!2018/12/07
takaC
107
若い頃に八十八箇所早打ちの車遍路もどきをしたことがあります。ただの一箇所も参拝しなかったので証拠はドライブログだけですが。2018/06/06
ゆいまある
76
四国は太古より死者の魂が集まる死国。遍路道を年の数だけ逆に回ると死者を蘇らすことができる。四国在住としていつかは読まねばと思っていた高知出身作家によるホラー。しかし滑らかとはいえない文章のせいもあり、なかなか入り込めない。京極夏彦先生が同じテーマで書いてくれたら是非読みたい。因みに私の頭の中には、「うるう年に逆打ちすると御利益2倍!」というどこぞの量販店のポイントのような知識しかなく、四国中台風になっても香川は大して荒れもせず、県民は糖尿病になりながら呑気にうどん食べ続ける絵しか浮かびませんすいません。2019/05/29
Tetchy
76
自分の住んでいる四国を舞台にこんな土俗ホラーが繰り広げられるのにまず驚いた。寒風山トンネルとか石鎚山とか馴染みのある地名が出てくるので、自分の周囲がとんでもなく恐ろしい死者の地のように感じた。この死者を甦らせる逆打ちという儀式が実在するのか、または言い伝えとして残っているのかは寡聞にして知らないが、このアイデアは秀逸。実際、ありそうだもの。そしてお遍路さんを見る目が変わりそうだ。独特の日本人の魂の根源から揺さぶられる恐怖がここにはある。日本の田舎が持つお化け屋敷的な怖さを感じさせる文章力は素晴らしい。2009/10/21
k5
73
kindle unlimitedにあったので読んでみたのですが、想像以上の面白さ。とくに超常現象が起きる時の自然描写が抜群で、生ぬるい風の湿り気までが感じられるようです。けっこうプロモーショナルに映画の宣伝してたのが記憶にあって、当時はまったく観ようと思いませんでしたが、栗山千明も出てるそうだし観てみるか。2022/05/03