感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
87
細菌戦部隊としてハルピン郊外に組織された第731部隊は、捕虜の生体解剖などを伴う研究を実施。続編は主に戦後の同部隊について述べる。ソ連参戦を受け部隊は施設を破壊し、いち早く内地復員。幹部は戦犯追及を恐れ潜伏するも、同部隊に異常な関心を示し細菌戦のデータがソ連に渡ることを恐れた米国は間もなく部隊長石井四郎軍医中将らの所在を突き止め尋問を開始。石井らは保身のため米側に情報を引き渡す代わりに訴追を免れた。この事実は『悪魔の飽食』出版と同じ頃、米国のジャーナリストの米国立公文書館での文書発掘により明らかにされた。2022/09/19
Mr.deep
5
前巻が売れに売れたせいか作者の自己顕示欲が抑えきれなくなって、思想は駄々洩れだわ、余計な小説風の修飾つけるわと、大分「文学」としての純度も完成度もダダ下がり。アメリカ巻き込んだ大スキャンダルな本巻の方が歴史的重要度は高いはずなんですけどね2023/04/02
かじ
3
理不尽に、無差別に奪われる命の前には、いかなる戦争の美化も意味をなさない。体験者が語り継いでくれる自らの痛み、それを受け止めてその意味を考えることだけでも、平和を維持していく礎になるはずだろう。戦争を知らない世代が増えることは喜ぶべきことだ。しかし、ただ「知らない」ままでいてはならないのだろう。人は無謬ではなく、時に取り返しのつかない過ちを犯す。だが、同じ過ちを防ぐために歴史にそれを記録するべきだし、その歴史を知るべきなのだ。2020/11/21
さるたろ
3
「人体標本の処分作業は八月十五日以降、一か月かかった」2012/03/06
Sosseki
2
よくもこんな非人間(それとも、余りに人間的?)なことを考えついて、実行したものだ。でも、私がその場にいたら、嫌だと思いつつ、命令のままに行っただろう。現代でも、シリア、ロシアがABC兵器を使ったとか言われているが。今のウクライナにしても、なんと戦争が始まるのは簡単で、終わらせるのは難しいか、国際社会が何と無力かと愕然とする。2022/07/20