感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
286
悲惨悲劇極まりない。世に『絶対』はないと言われるが戦争だけは絶対に起こしてはならない。著者自身が当時の知覧で特攻隊の若者と同じ飯を食い、戦後に生き残った関係者に話を聞き記した本書。リアリティーを感じる。まさに命懸けで国を、大切な人達を守らんと散っていったかけがえのない命。軍部上役の常軌を逸した言動に苛立ち涙なしにはとても読めない。命に貴賤があるはずない!現代に蔓延るSNS上での『我が身を晒すことなしに他人を誹謗中傷をする輩』そんな未来のために己を捧げた訳じゃない!と怒る尊き命の声が聴こえる気がする‼️🙇2020/07/22
yoshida
121
陸軍報道班員として知覧にいた著者の作品。遺族や当時の関係者への聞取りによるルポ。戦争の光と闇がある。週刊朝日に連載されていた為、特攻を美化しない事に力点を感じる。勿論、理由のない鉄拳制裁は軍の汚点だし、死を目前にして学鷲と少年飛行兵では特攻の捉え方は変わるだろう。また、特攻は志願か命令かという論点もあるが、当然に命令だと思う。作戦と呼べない代物でも戦争という国家の非常時では、悲しいが命令なのだ。だが、様々な想いを抱えながら散華された英霊を、私は口が割けても無駄な死などと呼べない。美化とは別の問題だと思う。2019/08/02
レアル
68
こちらも知覧特攻平和会館を訪れた際に見つけた本。陸軍の報道班員だった著者が取材したドキュメンタリー。今から振り返れば無謀、異常としか思えないその特攻隊。その無謀な計画に「志願」という形で散華した若者たち。その隊員とご遺族に配慮しながらも、様々な視点で、かつその事実と共にその責任問題まで美化されることなく描かれている。この地を訪れなければ手に取る事がなかったであろうこの作品。特攻隊という美化されやすい歴史的事実を改めて考える機会をくれたこの本とその出会いに感謝! 2015/07/30
かおりんご
46
当時、特攻隊を追いかけていた記者だけあって、特攻隊のことを冷静に書けたのだと思います。志願、不慮死、特攻崩れ等、美化されていた歴史では描かれなかった特攻隊員の姿が見られました。死にたくなかっただろうな、切なかっただろうな、と思うと胸が締め付けられます。でも、これって史実なんですよね。後世に伝えていかなければと思います。2016/06/18
とくけんちょ
44
特攻により戦死した未来ある若者たち。自ら本心から志願した者ばかりじゃなかっただろう。理不尽な命令になることもあっただろう。軍上層部の責任はあるだろう。そんなこと、みんな承知の上だ。特攻を美化することが、軍国主義に直結するのか。軍部が悪なのか。そんな単純なものなのか。至上命令は、自国の存続。そのために戦った、その歴史の上に今がある。特攻兵をめぐる一側面を伝える。そういう意味で、この本には意義がある。作戦の是非や思いは人それぞれでいい。2022/12/23