角川文庫<br> 脱走と追跡のサンバ (改版)

電子版価格
¥660
  • 電書あり
  • ポイントキャンペーン

角川文庫
脱走と追跡のサンバ (改版)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 336p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041305089
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

どんなことがあっても脱走してやる。このいやらしい世界から逃げ出してやる。こんなところに閉じこめられてたまるものか。汚物の墓場の下水管を通り抜けもとの世界からこっちの世界へ入り込んでしまったおれは…。情報による呪縛、時間による束縛、空間による圧迫にあえぐ現代をパロディ化し、境界のゆらぎはじめた現実と虚構の「世界」を疾走する傑作長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たか

50
とにかくあらゆる意味で常軌を逸した小説で、シュールレアリズム的な作品だ。 本書の主人公は筒井作品ではおなじみの『おれ』。『おれ』はこの世界で情報による呪縛、時間による束縛、空間による圧迫に苦しみ、この世界は実は贋物の世界で、以前『おれ』がいた本物の世界から誰かに騙されて連れてこられたのだ、と考える。そして以前自分が謳歌していた自由を取り戻すために、この世界からの脱走を決意する…。 ナンセンスギャグやエロティシズム満載で笑わせてくれるが、エンターテインメントとして読ませる筒井氏の筆力は圧倒的である。D+評価2021/12/01

i-miya

46
2014.01.03(12/25)(つづき)筒井康隆著。 01/02 (p004) 現在おれのいる場所は、以前おれがいた場所ではなく、現在おれとともに流れているこの時間は、以前おれが身をゆだねていたあの時間とは別の時間だ。 たしかに金銭的自由はのぞんでいたが、そのtめに別の世界を望んだことはなかった。 ほんのすこしましになっただけの金銭的自由。 おれの意志ではない。 引きずり込まれたか。  2014/01/03

i-miya

42
2014.02.16(01/25)(つづき)筒井康隆著。 02/14 (P009) 「筒井による『筒井康隆論』」(河野典生)。 おれと正子。 ボートの上。 川下に流れていた方が楽だわ。 あのときの正子の落ち着き具合は、今から思えば怪しむに十分だった。 しかも大粒の雨にもたじろがなかった正子。 水嵩のましたびびんちょ川。 障子窓に当たる!室内は四畳半、夕食する家族があった、すみません。 雨はギターのB弦と高い方のE弦のように細くて鋭い銀色をしていた。  2014/02/16

i-miya

40
2013.11.25(11/25)(再読)筒井康隆著。 11/25 (解説=河野典生) パロディ版「筒井康隆論」である。 同時に、いわゆるニューウェーブと呼ぶ前衛SF小説のパロディであることは、第3章=ボサ・モバによるエピローグ、でわかる。 物静かな紳士である筒井。 おれ、僕、私の一人称。 それは彼が覚めた人間だからですよ。 長ずればあらゆる対立する観念を同時に把握する能力。 (本文) (カスタネット・プロローグ) 疲れている。 一晩中おれは自分のいびきで眠むれなかった。 2013/11/25

メタボン

27
☆☆☆★ 最初から最後まで迷走しっぱなしのドタバタ作品。この手の作品は筒井康隆の真骨頂なのだろう。読み終わったときに、虚無の境地に至った。2021/06/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/565815
  • ご注意事項