厩橋

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  • サイズ B6判/ページ数 190p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041101179
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

私たちは逃げられない、女という面倒くさい性から。

17年前、厩橋で拾われた赤子は月子と名づけられ、大人の香りを身に纏う美しい女に成長した。一方、育ての母黎子は職場の図書館で会う「川向こうの男」の存在を意識して――。二人の女の揺れる思いが錯綜する長編小説

内容説明

スカイツリーの足下に広がる東京の町。そこに暮らす坂下親雄と黎子の夫婦は、ある日、厩橋に捨てられていた赤ん坊を拾う。時は穏やかに流れ、「月子」と名付けて育てた娘は16歳になり、老婆のために『たけくらべ』を朗読するアルバイトを始めた。一方、黎子は職場の図書館で会う「川向こうの男」の存在を意識するようになり―。

著者等紹介

小池昌代[コイケマサヨ]
1959年東京生まれ。詩人として『永遠に来ないバス』など多くの詩集を発表。2001年『屋上への誘惑』で第17回講談社エッセイ賞受賞。07年「タタド」で第33回川端康成文学賞受賞。10年『コルカタ』で第18回萩原朔太郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

71
スカイツリー、樋口一葉、夫婦の関係、図書館や本、女性の生き方、下町といったさまざまな要素が盛り込まれた面白い一冊。図書館で働く黎子に一番感情移入して読んだ。黎子が図書館や活字に対して抱く熱い想いは小池さんの心の中の反映なのかもしれない。東京の下町の雰囲気も鮮やかに描かれている。特に地震でつぶれてしまう古本屋のエピソードは忘れがたい。半ばあの世の住人である墨子の抱く感慨には凄みがある。墨子と対照的に描かれているのが月子で、月子を描く小池さんの筆は冴えていた。詩人でもある小池さんの面目躍如といったところ。2013/10/03

巨峰

40
隅田川、花火の夜、スカイツリー、東日本大震災。生活の場としての10年代初頭の東京を描写した叙景詩のような一面を持った小説。ゆらゆら揺れる川の水面を漂うごとき3人の血の繋がらない家族は、時を流れていく。振り返れても、戻れないことをわかってはいるのに。2013/02/17

UK

34
厩橋の上で拾われた月子。のびやかな美少女に成長した彼女と育ての親たち一家それぞれの情景を描く。月子が子供の頃から愛読していた樋口一葉の「たけくらべ」が彼女と過去の亡霊をつなぐ役割をし、捨て子であることを打ち明けられた月子の独り立ちへの決心を後押ししていく。テーマもストーリーもふわんと流れて漂う独特の雰囲気になんとも惹きつけられる。玉手箱がしまってある戸棚ってきっとこんな匂いがするんじゃないかなあ。2014/10/15

あじ

32
隅田川に架かる厩橋(うまやばし)に捨てられていた月子。養父母の元で健やかに美しく成長し、旅立の日を“感じる”ようになる。彼岸此岸と『たけくらべ』の世界観を取り込み、家族の幻想を“幻想”と相殺する。小池昌代入門者に差し出したい、円やかな浅瀬の潜水。2019/02/17

野のこ

30
エッセイで幼少時代に「喧嘩した同じクラスの女の子の家で感じた爽やかな川風、大人になったいまでも思い出す」と書いてあり、この本との繋がりを感じました。月子の「たけくらべ」の朗読からたけくらべの物語へ繋がった世界が浮遊感をうみだして不思議な気分に。一転 スカイツリーや震災は一気に現実に戻されました。対岸では風のような人の気配を感じ、黎子の微妙な心の変化は妙にしっくりと。。最後の月子の旅の情景、白い馬が何度も出てきたのが印象に残りました。 2017/09/30

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