角川oneテーマ21<br> 語りきれないこと―危機と傷みの哲学

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角川oneテーマ21
語りきれないこと―危機と傷みの哲学

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  • サイズ 新書判/ページ数 186p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784041101094
  • NDC分類 104
  • Cコード C0210

出版社内容情報

心が息をふきかえすには? 震災から一年。命を支える「言葉の力」を考える

語りきれない苦しみを抱えて、人はどう生きていけばいい? 阪神大震災を機に当事者の声を聴く臨床哲学を提唱した著者が、東日本大震災から一年を経て、心を復興し、命を支える「人生の語りなおし」の重要性を説く。

内容説明

心を引き裂かれる経験、体の奥で疼いたままの傷。どうすれば苦難から身を立てなおすことができるだろうか?傷ついた人々の声を「聴くこと」を課題として臨床哲学を提唱した著者が、心の傷口を静かにおおってゆく「語ること」の意味を真摯に説く。幸福に気づく知恵を問いなおす哲学入門。

目次

第1章 「語りなおす」ということ―語りきれないもののために(心のクッション?;「まちが突然、開いた」;語りにくさ ほか)
第2章 命の世話―価値の遠近法(求められる、もう一つの語りなおし;危機の信号;決められないわたしたち ほか)
第3章 言葉の世話―「明日」の臨床哲学(見えないことが多すぎて;特殊な素人;見えているのに見てこなかったこと ほか)

著者等紹介

鷲田清一[ワシダキヨカズ]
1949年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。関西大学文学部教授、大阪大学文学部教授、同大学大学院文学研究科長・文学部長、同大学理事・副学長、同大学総長をへて、大谷大学教授。哲学者。専攻は哲学・倫理学。著書に『「聴く」ことの力』(桑原武夫学芸賞)、『モードの迷宮』(サントリー学芸賞)など、多数。2004年、紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

51
10年前の本。大震災の翌年という状況。今、読むことの意義を痛感。鷲田先生の言葉が響く。いくつものキーとなる言葉・概念が心に残る。時間を渡す・・価値の遠近法・・口下手の信用・・言葉の質感・・対話の意義・・対案無き非難・・アート・・インターデイペンデンス。まさに、生きるための哲学であり、臨床哲学そのもの。2022/08/20

あちゃくん

39
改めて、言葉とは?コミュニケーションとは?について考えさせられる。2022/05/01

ムーミン

19
「誰も声のかけようがない状態の中で、わたしたちはできるのはこの看護師さんのようにじっと傍らにいるということしかないのかもしれません。あるいはせいぜい、ご本人を遠目に見つめながら、その人がおられる場の空気を少しでも入れ換えるようふるまうことくらいしか、ないかもしれません。……ちょうど台所仕事をしながらうまく子どもの話を聴きだす母さんのように。庭に水をやりながら「ふーん」「ほう」と老親のつぶやきに応えるともなく応えるおとうさんのように。」P.1852018/05/20

RED FOX

19
哲学者が書く震災の本ってなあ!?遠いんじゃないの~と思ってましたが、全然ちがってごめんなさい、よかった(>_<)インテリなのに平易で冷静で優しい訴えの数々に泣いて考えさせられ、いっぱいメモリました♪2017/03/21

松本直哉

14
存在のよって立つ足場を覆されたとき、人は言葉を失う。しかし、生き続けるために、時間をかけて、言葉を紡ぎなおし、語りなおす。長い時間がかかるし、語りきれないかもしれない。言葉には宛先がいるから、そばにいてじっと聞く人も必要。関西人の著者ならではの、言葉へのやわらかい姿勢が印象的。極限の状況を「二階が、一階になりましてん」と回想する女性。関西弁のユーモアが、状況を異化し、相対化する。しなやかな強靭さをもつ関西の言葉に、救いへの一筋の光明をかいま見る。2013/08/29

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