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幾千の夜、昨日の月

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  • サイズ B6判/ページ数 182p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041100660
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

昔も今も、どこにいても巡ってきた「夜」の、忘れがたい時間を描くエッセイ

不安と期待をもって降りたった異国の旅先で、母を見舞い、消灯時間が過ぎたあとの病室で、夜を徹して友と語り合った夏の林間学校で……夜はときとして、私たちがひとりであることを思い出させる――傑作エッセイ!

内容説明

初めて足を踏み入れた異国の日暮れ、夢中で友と語り明かした夏の林間学校、終電後ひと目逢いたくて飛ばすタクシー、消灯後の母の病室…夜という時間は、私たちに気づかせる。自分が何も持っていなくて、ひとりぼっちであることを―。記憶のなかにぽつんと灯る忘れがたいひとときを描いた名エッセイ。

目次

かつて私に夜はなかった
旅のはじまりは夜
夜のアトラス
こわくない夜
世界のどこも、うちの近所ではない
夜と安宿
月の砂漠
暇と求婚
まるごと夜
男を守る〔ほか〕

著者等紹介

角田光代[カクタミツヨ]
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おくちゃん🌸柳緑花紅

105
結構長く生きてきたので私は今日までどれくらいの夜を過ごし来たのだろうと、フト考えてみた。幼い頃の決まって親戚の家に私だけが泊まりにいってはしゃいだ後その夜に天井を見つめながら、お母さんに会いたくて声を出さずに泣いた事。危篤の知らせに急いで乗った飛行機そして病院までのタクシーの窓から見えたふるさとの夜。泊まり込んだ病院の夜。心細さに震えたあの夜この夜。夫婦二人での島旅で満天の星に吸い込まれそうになった夜。この作品を読んで私の知っている夜、知らない夜、これから知るであろう夜を思った。2016/06/21

崩紫サロメ

43
「夜」をテーマにしたエッセイ。短編小説のような印象を受ける、夜と自分の物語。はじめの「かつて私に夜はなかった」は「子どものころには夜がなかった」で始まる。夜は眠ってしまうから自分が夜の中にいないのだ。だから夜が怖い。本来あるはずのないものだから。こうした夜の存在はが年齢と共に変わっていく。身近な場所、旅先、様々な場所の「夜」が描かれるが、変わっているのは「夜」ではなく、著者の方だ。一人の人間の成長(成熟)によって同じ場所の夜も変わる。やはり小説を読んだような読後感。2021/10/12

ぶんこ

39
かなりのビビリとかかれていますが、どうしてどうして、かなりのツワモノでした。 先進国ではない旅先に、事前に調べもせずに旅立ったり、安宿に泊まったりを女一人では、ビビリでなくても難しいはず。 天晴れです。 確かに一人旅の時、寝る前や、夜汽車から降り立った明け方の町で、人気の無いシ〜ンとした中に一人っきりだと胸がキュ〜ンとなります。 その圧倒的な孤独感は、病みつきになったりした事もあったなぁと思い出しました。 普段の生活の中での夜のエッセイでは、飲んだ時の事が多かったので共感できませんでした。2015/01/09

野のこ

38
夜にしか感じることの出来ない体験集。角田さんの旅先での不安 心細さがすーっと私にも伝わってきました。情景がみるみる浮かんでくるような文章力がすごい。モロッコの砂漠の真ん中に布団を敷いて横になる。満点の星空を想像するだけでもうっとり。そしてUFOみたいな未知なる橙色の光の月の出現には息を止めてしまいました。2017/07/07

竹園和明

31
夜に関する話を綴ったエッセイ。角田さんは多くの国を一人旅しておられて、その先々で夜を感じた話や、若かりし頃物思いに耽った夜の事などが綴られている。「夜の恋」は若い頃に好きだった人に納得して振られた話。未練を残した別れではなく「あぁこりゃダメだな」と感じ、「またね」と手を振って別れ「もう二度と会う事はないだろう」と納得ずくで別れた彼女。その清々しさが素敵。 星空が綺麗に彼女を照らした事だろう。 …夜は心が浮遊する。その行く先をどこに定めどう感じるか。それを演出するのは自分自身なんだなと思った。2016/12/16

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