出版社内容情報
島本理生、「家族」の輪郭を描き出す野間文芸新人賞受賞作。ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父――。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第25回野間文芸新人賞受賞作。
島本 理生[シマモト リオ]
著・文・その他
内容説明
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、ふみ、母、小学校2年生の異父妹の女3人。静かで平穏で、一見何の変哲もない生活だが、そこに時折暗い影を落とすのは、家族の複雑な過去だった。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、2番目の父―。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、ふみは少しずつ、光の射す外の世界へと踏み出してゆく。第25回野間文芸新人賞受賞作。
著者等紹介
島本理生[シマモトリオ]
1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を同賞史上最年少で受賞。05年刊行の『ナラタージュ』が各界の絶賛を受け、累計40万部を超えるベストセラーに。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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aoringo
90
複雑な家庭に育った、ふみ。年齢に比べて落ち着きというか諦念をかんじさせる彼女だけれど、誠実な男子である周と出会う。「好き」や「愛してる」もなく淡々としているけど、自然と連絡取り合って自然と近づいていく。周ならいつかふみを笑顔にさせてくれるだろう。島本理生さんの高校時代の作品ということで、自分の初恋を思い出して甘酸っぱい思いに駆られました。2020/07/05
だーい
44
穏やかに何気ない日常を送っているふみ。でも閉じ込めている暗い過去が今も心の中にある。ひどい目にあえばあうほど、いつかに期待してしまうのはなぜだろうという言葉に生きていく上での痛みを感じた。どんな家族でも割り切ることってできないなあと思う。そんなふみの心をそっと包み込んでくれる周との関係がふみを少しずつ変えていくのが印象的だった。人は何かを失いながら何かを得て生きている。綺麗事では済まされない人生を、一歩ずつ少しずつ生きていってほしいなと感じた。2024/04/27
ソーダポップ
22
どこか浮遊感のあるストーリー主人公ふみの大切な人や家族達との触れ合い。淡々とした恋愛の物語。早熟の天才作家の著書に私も楽しめました。2020/11/11
シフォン
22
たまたま図書館で借りた本。母と腹違いの妹と三人で暮らす主人公のボーイフレンドや行方不明のダメな父親に対する想い、この年齢ならではの感性が書かれている。2018/07/07
白きゅⅡ
21
【再読】第25回野間文芸新人賞受賞作品。9年程前に読んだ時は、余り印象の残らない退屈な作品だと思っていましたが、今回改めて再読してみると、ふみと周の会話がとても心地よく、荒々しい感情や出来事がある訳ではないのに、優しく心を静かにさせてくれる作品だと、感じました♪静かに描きながら、主人公が成長していく様は、吉本ばななさんの作品の雰囲気に似ています!ページ数も少なく、テーマも重苦しくないので、これから時々再読してみたい作品です♪★★★☆☆2018/06/01