角川新書<br> 「なんとかする」子どもの貧困

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角川新書
「なんとかする」子どもの貧困

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  • サイズ 新書判/ページ数 248p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784040821733
  • NDC分類 369.4
  • Cコード C0230

出版社内容情報

ある「こども食堂」での話。
今日は鍋にしようと、大人たちが鍋料理を作ったところ、高校生の女の子が「みんなで鍋をつつくって、本当にあるんだね」と言った。彼女には、その経験がなかった。みんなで鍋をつつくというのは、テレビの中でだけ起こるフィクションだと思っていた。スーパーマンが空を飛ぶように。
同様の話を、よく聞く。大学生のボランティアに会った中三生が「大学生って、本当にいるんだね」、簡単なクリスマスパーティをしたら「これって現実なのかなぁ」。中三生でも「偏差値」という言葉を知らない。高校生がテスト中に先生を呼び止めて「『氏名』ってなんて読むの?」と聞く。
「あたりまえ」の経験や知識が欠如している子どもたちが増えている。
この子たちが世の中を回すようになったとき、世の中はどうなるんだろうか?

このような状況に腐らず、諦めず、1ミリでも対策を進める人たちが、まだこの国にはたくさんいる!
「あの子はラッキー」で終わらせない。

1ミリを動かすどんな試みが巷に溢れているか。その諸相を紹介していく。
そこには、状況の厳しさと同時に、それに立ち向かう希望が示されるだろう。
子どもの貧困は減らせる。私たちの社会は、私たちの手で変えていける。
それは、たった1ミリに敬意を払う、私たち自身の姿勢から始まるはずだ。
貧困問題の第一人者が取材した、「解決」の最前線!

内容説明

いまの日本の最大の問題は、“子どもの貧困”である。問題は余りに大きい。一朝一夕にすべての人を幸せにする解決策もない。だが、一ミリでも対策を進める、腐らない人たちが、この国には、まだたくさんいる!貧困は減らせる、社会は根もとから変えられる!!貧困問題の第一人者が取材した課題解決の最前線。

目次

第1章 子どもから社会を見直す―貧困とは何か?(体験の貧困お金だけの問題ではない;意欲の貧困あきらめないために必要なこと ほか)
第2章 あきらめない人たち―「こども食堂」と「無料塾」(名づけ親が言う「こども食堂」は「こどもの食堂」ではない;「こども食堂」とは何か? ほか)
第3章 できることを、できることから―動き出す自治体・企業(「子どもの貧困対策をするつもりはない」と言う対策先進市の市長;「学習県」を標榜する知事の思い ほか)
第4章 社会をつくり直す―貧困の連鎖を断ち切るために(風俗からこども食堂に転じた夫婦の苦闘;AIに太刀打ちできる読解力をすべての子に ほか)

著者等紹介

湯浅誠[ユアサマコト]
社会活動家。法政大学教授。1969年東京都生まれ。日本の貧困問題に携わる。2008年末の年越し派遣村村長を経て、09年~12年内閣府参与(通算2年3ヶ月)。政策決定の現場に携わったことで、官民協働とともに、日本社会を前に進めるために民主主義の成熟が重要と痛感する。現在、法政大学現代福祉学部教授の他、NHKラジオ第1「NHKマイあさラジオ」、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」レギュラーコメンテーター他。著書に『ヒーローを待っていても世界は変わらない』(朝日文庫)、『反貧困』(岩波新書、第8回大佛次郎論壇賞並びに第14回平和・協同ジャーナリスト基金賞受賞)、など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こばまり

56
貧困家庭の子どもに特化した話でなく、子どもへの取り組みから社会をつくり直そうという提案。何となれば子どもは私たちの未来そのものだから。パワハラ発言辞任で話題の明石市前市長インタビューも。泉前市長主導で素晴らしい施策が行われていた。惜しい。2019/02/03

おさむ

42
ヤフーニュース個人の記事をまとめた新書。10年以上前から「貧困」の問題を訴えて日本社会での可視化に努めてきた著者。これらの記事は価値観を同じくしない人たちにひたすら話を聞き、理解することにエネルギーを注いだ結果の集大成。現場に立脚し、各地で広がる様々な動きを丁寧に紹介しています。子ども食堂が有名ですが、他にもいろいろな取り組みがあることを知りました。世界平均よりも日本の子どもの貧困率が高いという現実をしっかり受け止めて、1ミリでも前に動かしていこうとする著者の姿勢には頭が下がります。子どもは社会の鏡です。2017/11/13

テツ

26
いい年こいた大人がまともに働かなかったりして結果的に陥る貧困なんて野垂れ死にするとしても放っておけばいいと思うけれど、貧困家庭に生まれ落ちた瞬間にほぼ将来的にその子自身も同じ道を辿ってしまうことが約束されるような社会は何とかしなければと強く思う。生きるための知識と知恵を教える余裕すらない貧困家庭をどう救うべきなのか。無計画にこどもを産んで(産ませて)無計画に育てるアホはどうでもいい。運悪くそんなところに生まれてしまったこどもに力を与えるにはどうしたらいいのか。2018/08/16

Nobu A

19
湯浅誠著書3冊目。「ヤフーニュース個人」に執筆したものを新書化。関わってきた子供達、「こども食堂」や「無料塾」等、支援をする人達、動き出す自治体や企業、貧困の連鎖を断ち切る為に、立ち上がる元生活困窮者、研究者、篤志家と様々な人達にインタビュー。6人に1人が貧困と言われる現在、見えない子供貧困の実態を可視化。心が痛む。同時に、そんな現状を変えようとする全国での動きに胸が熱くなる。貧困の現状がもっと認知され、国の抜本的な政策へと繋がることを切に願う。著者の「このまま終わらせない」と言う静かな強い意思を感じる。2020/04/03

suite

19
「『努力する』というエンジンが備わっていない」の話が悲しい。ないのでなく、条件が整わなすぎて、エンジンが極限までなってしまうということなのだろう。食べるものと、人とつながりと、将来働いていくための支えになる力を身に付ける機会が、若い人たちみんなに保証される世の中がいい。フードバンクは必要な世帯にもっと届いてほしい。「充分な依存」「一緒に過ごす時間」の大切さ。高校より上の段階への進学は貧困の連鎖を断ち切る有効な方法なはずだが、希望があって力があっても学費のために困難がある現状が本当にもどかしく苦しい。2018/09/02

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