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漂流老人ホームレス社会

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  • サイズ B6判/ページ数 220p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784023311893
  • NDC分類 368.2
  • Cコード C0095

内容説明

平等だということが、差別になることもある。私たちに希望はあるか?職をなくし、家をなくし、再就職もできない。年齢、障がい、家族、そして制度との行き違いが、彼らの心と命をむしばんでいく。19年間、身を削って向き合った野宿の人たち…。いま、池袋の現場から著者が伝えたい現実とは。

目次

1章 死ななくてもよかった
2章 家族の形
3章 派遣切りの末に
4章 認知症者の先く先
5章 アルコール依存症
6章 知的障がい
7章 統合失調症
8章 希望
終章 私が野宿の人とともにいる理由

著者等紹介

森川すいめい[モリカワスイメイ]
1973年、池袋生まれ。精神科医。鍼灸師。立教大学精神医学講座非常勤講師。陽和病院地域支援室精神科医。2003年、ホームレス支援のNGO団体「TENOHASI(てのはし)」を立ち上げ事務局長就任。08年、NPO法人化、代表理事に就任。東京・池袋で炊き出しや医療相談などを実施。同年、ホームレス状態の人の精神疾患有病率調査を日本で初めて行う。09年、認定NPO法人「世界の医療団」東京プロジェクト代表医師に就任。11年、同法人東日本大震災ニココロプロジェクト代表医師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yomineko@猫と共に生きる

79
かなり前に読んだ時はこんなに重い感じはしなかった。まだまだ老人、ホームレスなどの問題が表沙汰になっていなかったからかも知れない。鬱病で家にいたらお金がどうのこうのと言われて追い出され、死亡。生活保護を受けられず亡くなって行く高齢者たち。多くは家計のため小学校や中学校を卒業して働かざるを得なかった方々。彼らが40代になり職を失うともう就職できなくなりホームレスへ。支援者が病院に連れて行っても医師から治療拒否。何のための医療か!と著者は憤る。行政が手を差し伸べようとしない所で支援団体が頑張っている厳しい状況。2022/10/10

ケイ

68
たんにホームレスと言っても、様々な人がいる.知的障害者、統合失調症を抱えるもの、子供から虐待を受ける老人、アルコール依存症で施設で暮らせない人たち。どうしようもないが保護を受けられずやむを得ず路上に暮らす人。ここでは、実社会の煩わしさを逃れ、好んで路上で暮らす人達にはほとんど触れない。そして、支援者の取るべき態度についても言及する。どのような支援が必要かを決めるのは支援者でなく、される人であると。その見極めが大変なのだろう。世間から冷たい目を向けられながらも支援を続ける人達に頭が下がる2014/05/26

kinkin

54
精神科医でもある著者は、こう書いている。「ホームレス」とは単に家(ハウス)を失った人を指すのではなく「ホーム」すなわち安心していられる場を失った人たちのことをいうと。さらに老人だけでなく若者たちも漂流することが多くなってきている日本。社会の変化に伴いますます生きづらい時代の背景にあるものは、富裕層と貧困層の二極化だと思う。加えて認知症や様々な障害を持つ人々が、これからどうしていくべきかを真剣に考える時期だ。自分は大丈夫と思っている人にもある日突然ホームレスになってしまうことは大いにありえると感じた。2014/06/03

寛生

42
【図書館】読みながら、アガンベンがいうーホロコーストは終わっておらず、今も尚起こり続けているんだーとフレーズが何度も頭の中でリピートされた。国家の陰で熾烈で冷酷な扱いを受け、自らを責め、〈家〉の外で孤独に精神を病み、食もなく生き死んでいく人たちのもとに自らを捧げだし、寄り添う森川すいめいは、メタフォーではあるが、現代の杉原千畝を思い浮かばせる。人間を人間とも思わない、感じることができなくなった社会に日本はいつからなったのか?虚構体制の中で最初に被害を被るのはいつも弱者だが、その波は必ず勝ち組にも来る。2014/03/10

どんぐり

35
水曜日の夜に、池袋の夜回り活動を行う医師がいる。東京・池袋で炊き出しや医療相談などを実施するNPO法人「TENOHASI(てのはし)」代表理事の森川すいめい氏である。著者はホームレス状態の人を、ホームレス状態のままに封じ込めている「みんな同じ(平等)であるべきだ」というマジョリティの側からの考えを否定する。ホームレスとは、単に家(ハウス)がない状態というのではない。安心して生きていく場(ホーム)がない状態をいう。みんなが平等であることを前提とする社会は、人間を、ホームレス状態に押しやる。本書は、平等の名の2014/01/20

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