出版社内容情報
日本に一番必要とされるのは「保育サービスを中心とした子育て支援」。先進国の統計データをもとに政策効果を分析した意欲作。
内容説明
「子育て支援」が経済成長率を引き上げ財政改善する可能性が見えてきた!純債務残高600兆円を超え、深刻な財政難にいまだ効果的な手を打てずにいる日本。でも現実を見れば、「働きたいのに働けない女性」はたくさんいる。安心して子どもを産み育てられる「良質な保育サービス」に本気で取り組めば、日本はまだ成長できる。データ分析が示す国家戦略の新形態!「マツコ案」を試算した若手社会学者の新提案。
目次
第1章 財政難からどう抜け出すか
第2章 働きたい女性が働けば国は豊かになる
第3章 「子どもの貧困」「自殺」に歯止めをかける
第4章 社会保障の歴史から見るこれからの日本
第5章 子育て支援の政策効果
第6章 財源をどうするか
著者等紹介
柴田悠[シバタハルカ]
1978年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。博士(人間・環境学)。京都大学総合人間学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員PD、同志社大学政策学部任期付准教授、立命館大学産業社会学部准教授を経て現職。専門は社会学、社会保障論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
29
僕は子育て支援の必要性は権利・人権論としてしっかりとおさえる必要性を感じています。著者は子どもの発達や親の健全な子育てを阻害するような経済成長論は認めることはできないとしているところは良心的かなと思いました。本著では保育サービスの充実が経済成長にとっても効果があるという試算が出されています。しかし、財源論が曖昧であったことは残念でした。どちらかといえばベーシックインカムに親和的かなとも思いましたが。保守とリベラルが対立せずにというのは一つの理想ですが、安倍政治に無批判であるのことは危険性があると思いました2017/04/23
SGM
22
★★★筆者の解析したデータをもとに書かれていて読み甲斐があった。たしかに反証されているわけでもないので、そのデータがどの程度信頼性がおけるものかは不明である。しかし、国際的にみても子育て支援が充実しているわけではないし、バブル崩壊後の日本の衰退は論を待たないだろう。政府が行っている緊縮策は多くの国で経済成長を阻害することが報告されており、本書が提言している子育て支援(保育サービス・産休育休・児童手当の拡充)は前向きに検討したほうがよいのではないだろうか。これからの日本を支えるのは若年者・子どもたちだから。2019/03/21
ふぇるけん
19
日本が経済成長するには子育て支援を推進する必要がある、という主張とそれを裏付けるための統計データの解説。この通り進めたらうまくいく、とは著者自身も100%確信を持っているわけではないだろうが、データをしっかり分析してどういう政策を進めていくべきかを考えるきっかけとなる良書でした。北欧ではほとんどの人が子育てを国家や社会に担うべきと考えていて、フランスなどでは民間が担うべき、そしてわが日本は家族が担うべき、と認識に大きな違いがあることを知れてよかった。2017/12/21
まゆまゆ
13
子育て支援の政策、特に保育サービスの充実を行うと、労働生産性を上げ、子どもの貧困や自殺を減らし、財政の改善につながり、経済成長率も約2.3倍になる、と過去のデータから明らかにしていく内容。中学卒業まで保育費・教育費・医療費を無償にしようとすると、年間3.7兆円の財源が必要という試算は高いか安いか……子育て支援という目的をすべての議員が党派を越えて共有できれば、という主張はごもっとも。2017/04/17
日向夏
10
現代社会の様々な問題は子育て支援にもっと本腰を入れたら解決するんじゃないかと、肌感覚的に思っていた。未来のことは未来を担う人たちに、健全に成長してもらわないと話にならない。そういうことを、証拠に基づいて論証するとこういう本になるんだろうなと思った。しかし、財源のところでは、負担を増やす方法ではなく、無駄をなくすことで捻出はできないものか。今でも、税・社会保険料負担は家計に非常に厳しい。2017/08/18