朝日文庫
悪人〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 265p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022645234
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

福岡市内に暮らす保険外交員の石橋佳乃が、携帯サイトで知り合った金髪の土木作業員に殺害された。二人が本当に会いたかった相手は誰だったのか? 佐賀市内に双子の妹と暮らす馬込光代もまた、何もない平凡な生活から逃れるため、出会い系サイトへアクセスする。そこで運命の相手と確信できる男に出会えた光代だったが、彼は殺人を犯していた。彼女は自首しようとする男を止め、一緒にいたいと強く願う。光代を駆り立てるものは何か? その一方で、被害者と加害者に向けられた悪意と戦う家族たちがいた。誰がいったい悪人なのか? 事件の果てに明かされる殺意の奥にあるものは? 毎日出版文化賞と大佛次郎賞受賞した著者の最高傑作、待望の文庫化。

※下巻はこちら

内容説明

九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。母親に捨てられ、幼くして祖父母に引き取られた。ヘルス嬢を真剣に好きになり、祖父母の手伝いに明け暮れる日々。そんな彼を殺人に走らせたものとは、一体何か―。

著者等紹介

吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞し、デビュー。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で第127回芥川賞、2007年『悪人』で第34回大佛次郎賞、第61回毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

263
吉田修一氏は好きな作家である。本作は先に映画を観ていて、おおよその内容は把握している。映画で祐一役の妻夫木より、光代役の深津絵里より、存在感を放っていたのは佳乃役の満島ひかりだった。不器用な祐一は母親に捨てられ祖父母に育てられる。他人との距離感が掴めず、異性とも上手くいかない。出会い系サイトで佳乃と知り合った祐一はのめり込む。そして事件は起こる。本作は人間の内面の見栄やエゴ、暴力的な感情を質感を持って表現している。べたつく空気感。それぞれの持つ小さな悪意。上巻は一気読み。下巻も楽しみな傑作。2015/03/04

おしゃべりメガネ

243
映像化もされた作品です。上下巻のボリュームが少なく思えるほど、アッという間に読み終えてしまう素晴らしい作品でした。映像化される前に読了済でしたが、とにかくその陰鬱な世界観が圧巻です。陰鬱さがストレスに感じない、むしろ醍醐味であり、真骨頂なんだろうなと感じました。作者の他の作品も何作か読んでますが、ブッチギリでベストな作品ではないでしょうか。個人的には『女たちは二度~』が好きなのですが、とにかく本作の持つ決して表面化されないアンダーグラウンドな‘負‘のパワーをしっかり感じてほしいです。読後感は悪くないです。2011/09/10

にいにい

236
吉田修一さんの3作品目。吉田さんの作品で読友さんの推薦が最も多かった作品。なかなか興味深い。OLの殺人事件で、犯人は捕まっているでも、どんな事件かはこれから語られる。関係者それぞれの詳細が順次語られる。吉田sんの描写は、凄いな。細かな性格付けがなされてる。誰が、「悪人」なのだろう?犯人ではないよいな気もする。みんなが、それぞれ悪人なのかな?下巻を読む喜びが増す上巻だ。2014/06/23

抹茶モナカ

235
映画が面白かったので、読みました。芥川賞作家の作品なので、格好良い文章に出会う事を期待していましたが、意外に普通。描写にリアリティーがあったのが、エンタメ系作家との違いだろうか。携帯電話での出会い系サイト利用とか、時代を感じさせるところもありつつ。映画を観るより先に読めば良かったかな、と後悔しました。2016/05/16

mura_海竜

203
こんなに堅い文章だったかな。吉田修一さんは、4冊目。クライム系は初めてだからか。犯罪に巻き込まれ、被害者の身元確認が手に取るように運ぶ。親も会社の同僚も受け入れることが出来ない感情の描写が印象に残る。吉田さん出身の長崎と福岡。長崎と福岡の会話文、微妙に言葉遣いが違うのがわかったのがうれしい。まとめは下巻読了後に。2018/09/07

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