内容説明
聖地にいる173人全員に殺人容疑が降りかかる。嘘を許さぬ古来の儀式「ガッチ」を経ても犯人は見つからない。途方にくれるジュンの前に、「血塗れジャック」の被害者たちが現れて証言を始めた。真実を知るために、ジュンたちは聖地の地下へ向かうが…。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年、宮城県生まれ。早稲田大学卒。91年、第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年、『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞。06年、『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門賞。07年、『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
235
ファンタジーとホラーとミステリと民俗学と科学が融合した楽しい試み。日本で見慣れた土俗的な習慣がこれからは見え方が変わりそうだ。死者の住む聖地。とくにミステリと幽霊は同じ小説内で同居させにくいが、本作では上手に溶け合っている。指摘の通り、科学が進歩するごとに、死者の地位は下がりつつあった。かつて地域の神であった祖先達は現在ではゴミ同然。アナザーヒルはきっと我々の心のどこかにある。2019/09/12
さてさて
208
上巻から勢いを緩めることなく下巻になっても世界観がどんどん膨らんでいくアナザー・ヒルのヒガン。恩田さんがあとがきで書いていらっしゃる通り『書いても書いても終わらない』という通り、全く出し惜しみなく展開される不思議世界のこの贅沢さ。この世界にもっともっと浸っていたいと感じさせてくれるこの作品。最後にはアドベンチャーな舞台まで登場するなど全編に渡って全く飽きさせない展開を見せたこの作品。素晴らしいミステリーファンタジーに浸らせてくれたアナザー・ヒルをまたいつか再訪したい、そんな風に感じた素晴らしい作品でした。2021/11/26
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
154
【図書館本】ヒガンの間だけ死者が物理的に還ってくるアナザー・ヒルに続け様に起こる異変の数々。ファンタジーをベースにサスペンスのようでもあり、少しホラー要素もあって薄ら寒くもある。下巻の中盤から冒険譚的な感じでいよいよ…となってからの結末までは少し唐突で、主人公ジュンと一緒に置いてけぼり感があったかな。 あまりに緻密な世界観は圧巻で、民俗学的検知から架空の地を見つめる視点も良かった。世界のどこかにこういうところがあって、突然な死を受け入れる過程として、死者と同じ時を過ごせたらいいのに。2018/09/22
ダイ@2019.11.2~一時休止
135
途中まですごくよかったのに恩田さんらしい終わり方?。まあ恩田さんの作品に最後まできちんとしているのを望むのは無理ですよねぇ。2016/12/05
青葉麒麟
108
《血塗れジャック》の正体が○○だと判った時、自分が真剣に犯人を推理してたのが馬鹿馬鹿しくなった(^_-)ファンタジーとミステリーの組み合わせってどうなんだろう?2011/12/16