朝日文庫
独酌余滴

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  • サイズ 文庫判/ページ数 305p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022643674
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

インドの弱法師、茸好き、愛犬イプシロンとの日々―能をこよなく愛す世界的免疫学者が、日本・世界各地を旅し、目にした人間の生の営み、自然の美、芸術、故白洲正子との交友などを、深遠かつ端正な文章で描く。2000年度日本エッセイストクラブ賞受賞の珠玉の随筆集。

目次

1 独酌余滴(脳の中の劇場;インドの弱法師 ほか)
2 去年の手帳(矛盾;トウガラシ ほか)
3 生命の風景(生命のふしぎ;イプシロンの心と脳 ほか)
4 ときの記憶(詩人多田不二のこと;遠い夏の日の川 ほか)

著者等紹介

多田富雄[タダトミオ]
1934年茨城県生まれ。千葉大学医学部卒業。コロラド大学留学。74年千葉大学教授、77年東京大学教授を歴任。免疫学の世界的権威。71年に〈サプレッサーT細胞〉の発見を国際生化学会で発表。ノーベル賞級の業績と注目を浴びた。野口英世記念医学賞、朝日賞ほか、免疫学における成果によって受賞多数。能にも造詣が深く、国立能楽堂で小鼓を打ったこともある。脳死をテーマとした「無明の井」、朝鮮人強制連行の問題を扱った「望恨歌」など新作能の作者としても知られる。『独酌余滴』で、2000年度日本エッセイストクラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ロータス

2
『免疫の意味論』を書いた免疫学者多田富雄氏のエッセイ集。能や骨董を通じての白洲正子氏との上質な交流が快い。また愛犬イプシロンの話はどれを読んでも心打たれる。差別や貧困を目の当たりにしたときの重い話もあるが、まるで縁側で日光浴をしたかのような爽やかさに包まれることができた。2021/02/09

どくばり・あり

2
つい先年と思ってたら、もう亡くなられて2年になる免疫学者の多田富雄さんが、主に新聞社系メディアに書かれた短文が収められたエッセイ集。 宗教を人類の生存のための免疫に見立て、「生きるために必須ではなくなった宗教が、どんな形で人間に復讐するのか」と疑問を呈し、「風の中の光とか、死者への悼み、音のない沈黙、そういった複雑なものを音で表現しようとするならば、それは単純な澄んだ音色ではすむまい」と能管を考える。旅をすると「町自身が持っている記憶」が無惨に失われたことを憂える。どの文章も、いま読むと黙示録的です。2012/06/06

bittersweet symphony

1
国際的免疫学者による2000年エッセイストクラブ賞受賞作。江戸時代から続く医学者の家系ということや、白洲正子人脈の一人ということもあって、周囲の環境が人を育てるものであることをまたまた実感することとなりました。内容的には、犬の話と職業上海外に出ることが多かったための旅行中の雑感、能(著者は新作能の作者でもあります)の話、本人の出自について、白洲正子さんの話といったところでした。戦前生まれの人の文章は読んで不快になったり、意味不明瞭にかんじたりするようなところが少なくてよいですねぇ。2006/07/15

夢仙人

1
いい話も暗い話もあった。特に、コンビニに依存している日本は、素晴らしい専門店(肉屋など)を失い豊かな生活を失っているとの下りはその通り、便利さは失うものが多いと知らされる。2018/07/28

いっぽし

1
なんとなく表紙に惹かれて手に取ったのですが、著者が同じ大学の大先輩、装丁が大好きな吉田篤弘さん、エピソードの一つに私の地元の方が登場していたなど、なんとも不思議な縁を感じた一冊でした。免疫学は元より能や社会など幅広いトピックについて、研究者としての視点で易しく書かれたエッセイです。2013/08/23

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