内容説明
9・11同時多発テロ後、いち早く「非戦」のコメントを出した坂本龍一氏と、戦時下のアフガンに単身飛び、戦場を目の当たりにした辺見庸氏。哲学と宗教の死、戦争の精密工業化、アメリカの傲岸さを直視し、文学者として、アーティストとして、これからの世界をどう生きるかを語り尽くしたロング対談。
目次
1 ほんとうはカブールで何が起こっているか(すべてが「非対称」なこの世界;ブルカが象徴するもの ほか)
2 “アメリカ”を生理が拒む(“アメリカ”の実相;世界同時反動 ほか)
3 哲学も言説も死に絶え、そして…(ポストモダンと哲学の終焉;世界の思想家たちの敗北)
4 新たな想像力―内宇宙に向けて(反国家・反政治・反定義;宗教の耐用年数 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハンギ
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9・11後の世界観について、辺見庸と坂本龍一が対談している。辺見さんはアフガニスタンにも行ったそうで、米軍が爆弾と一緒に食料を撒いているのは最低だという話をしていた。子供が食料袋と間違えて、不発弾の犠牲になったり。アメリカがだんだん帝国主義化することにも触れられている。二人の認識では、世界は非対称になっており、それが9・11によって露にされたとのこと。またアメリカにおいても日本においても知が空洞化しており、戦争を非難したら「口には気をつけろ」と米政府高官に言われる、そういう状況はおかしい。2013/02/03
ピラックマ
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教授が亡くなってから昔の本を漁っています。本書は9.11とアフガン侵攻直後の対談。内容はひたすら暗く重い。辺見氏の怒りも絶望も分かるんだが教授目当てで買ってる側からしたらひたすら辺見氏の長文ばかりが延々続く、なんだかなぁ。あれから20年、情勢はこの時以上にますます絶望的でしょうが、もうこんな世界を見なくて済みますね、RIP。どんな時代状況だろうと、そこに生まれた以上そこで生きていくしかないですよね、二人の怒りと絶望を少しでも共有しつつ。2023/06/25