内容説明
自分とはなんなのか?これからどう生きればよいのか?80年代を生きる在日朝鮮・韓国人の若者たちは苦悩と情熱を抱えながら生きていた。そして、タクシードライバー文忠明と若き朴淳花の愛も、新たな時代の流れに翻弄されてゆく…。感動の自伝的大河恋愛小説、堂々の完結。
著者等紹介
梁石日[ヤンソギル]
1936年大阪市生まれ。高津高校卒。10代から詩作に熱中するが、29歳のときに事業に失敗して大阪を出奔。各地を放浪した末、東京でタクシードライバーとなり、その体験を元に書いた『狂躁曲』(のちに『タクシー狂躁曲』と改題)で81年に作家デビュー。98年、『血と骨』で第11回山本周五郎賞を受賞
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感想・レビュー
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つけ麺部長
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上巻に続いて下巻を読みました。これは小説家である梁石日の誕生までの顛末を書いた作品です。離婚して愛人とも別れタクシードライバーを辞めた主人公はこれから小説を量産することになります。人生は何かを喪失して何かを得ることの繰り返しであると認識していますが、そのことが大いに示唆されているように思います。内容はもちろんそれだけではなくて、在日の問題も絡まってもっと複雑な様相を呈するのですが、最後まですんなりと読むことができました。梁先生の作品の中ではベストの部類に入る力作だと思います。2017/10/18
テイク
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上巻に続いて… 韓大権の詩集出版騒動など、このエピソードだけ見ると迷惑な爺さんだが上巻の若い頃、皆の間を取り持つ寛大な人柄を見ると許せる。 また全編とおして思うのは在日の人達も朝鮮語を話せない人が結構居るのだな話せないことが度々自分達のアイデンティティを揺るがす事柄になってるということ。淳花とのラブシーンはどこでも何度でも過ぎて感覚が麻痺してくる。文忠明は作者本人だろうが、淳花のモデルは居るのかな?淳花の父は血と骨の金俊平っぽい。 猛烈に愛し合ったのに2人の別離が大きな喧嘩でもなくあっさりなのはリアル。2023/05/23