内容説明
テレビの時代劇で、「介錯を」と言われて「え?」と聞き返す若い武士。「押さないで下さい」とあると、つい押したくなってしまうボタン…。筆者の面白アンテナにひっかかった日常のひとこまを、絶妙なタッチで描くユーモア・エッセイの極致。
目次
卒業
気遣う視線
憂鬱
ばかマシン
渦巻く親切
ドリンク
旦那さんをお借りします
生きとるもんだねえ
メールの作法
バランス〔ほか〕
著者等紹介
宮沢章夫[ミヤザワアキオ]
1956年静岡県生まれ。劇作家・演出家・作家。遊園地再生事業団主宰。京都造形芸術大学助教授。93年『ヒネミ』で岸田国士戯曲賞受賞。2000年『サーチエンジン・システムクラッシュ』が芥川賞候補となる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
43
絶妙なユーモアがありますね。違和感を感じたことを笑いに変えてしまうのが面白いです。アンテナにひっかかった日常を絶妙に見方を変えて独特の世界のタッチにしてしまうのが笑えました。ただの笑いではなく皮肉も潜ませてるのがいいですね。ユーモア・エッセイの奥深い面白さを見たような気がします。2014/09/26
メタボン
26
☆☆☆☆ 脱力系エッセイの王者。もうこの文体なので何を読んでも面白く感じる。行き詰ったら、宮沢章夫。体調を整えるために一服飲む薬のようなエッセイ。2019/09/05
あんこ
23
サブカルチャー史で気になっていた宮沢章夫さん。装丁がクラフト・エヴィング商會の本を探していたので、タイミング的に読んでみました。日常の中のちょっとした違和感を批判するのではなく、絶妙な発想でユーモアに変えているところがおもしろかったです。岸本佐知子さんのエッセイのようにただただ笑えるところもあれば、笑いながらもそのユーモアに潜む皮肉めいたところになるほどとなったりと、奥深いおもしろさがありました。2014/09/21
あんこ
14
再読。ニヒルな笑い。好きなエッセイです。再読して思ったのは、目次から既におもしろい。各章のタイトルが「あれ、これなんの話だっけ?」とつい思ってしまう新鮮さ。ここまで読んだらやめよう、というのが出来ずついつい長風呂をしてしまいました。ともすればどうでもいいようなことをあれこれと考えてつっこんでいく人が好きだと改めて思いました。それにしても、岸本さんといい宮沢さんといい、わたしの好きな人は何故かオリンピックが嫌いな模様です。2018/10/17
にがうり
5
朝日新聞で連載されていたとき、毎回げらげら笑いながら読んでました。しばらく切り抜きもしてたっけ。なぜか急に振り返りたくなって文庫本で再読。好きだった話は鮮明に覚えていて、とくに「建築家」がサイコー。急発進してどこに向かって飛んでいるのかわからないスリルとわくわく感を味わいながら、最後はピタっと着地してスカっ。見上げれば青空。2013/12/26