内容説明
無類の名文家にして、色好み、極めつきのけち―、世間に何と言われてもひとりで好きなように生きた“文豪”の衣食住、孤独の死、下町陋巷への偏愛、金銭感覚などを、「作品以上に本人が面白い」と言う著者が綴る。“変わり者”の面目躍如、時に呆れ、時にほくそ笑んでしまう内輪話の数々。挿画も満載。
目次
「大荷風」の成立事情
ケチの波紋
正月の散歩
荷風終生の愛人
戦後の生活風景
浅草の永井荷風
深川への旅立ち
葛西橋の永井荷風
男の茶のみ話
追いかけられた荷風翁
臨終の現場写真
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
10
『モダン都市東京』からの流れもあり、東京と文学を取り上げた積読書を読んでいつた中の一冊。川本三郎氏や海野弘氏とは違ふタッチではあるが、荷風の生き方をユーモラスに捉へて評する。墨田川界隈、浅草、葛西近辺のイラストも巧みで、東京の郊外への荷風の思ひ入れや作品の情感も伝はつてくる。2023/01/30
駄目男
4
数々の浮名を流してこの最期。 自宅で事切れていた荷風の臨終写真、私も一度見たことがある。 胃潰瘍で血を吐き独り静かに黄泉の客となった。 大文豪の末路にしては寂しい限りだ。 それを覚悟の上の独り暮らしであったか。 当時の人はその写真を見て何と思ったであろうか。 2014/02/16
Mikio Nakagawa
1
永井荷風は不思議な人だった。多数の愛人、人間嫌い、吝嗇。文豪でなければただの変人。最近は変人が多いが文豪はいない。2015/02/10