出版社内容情報
風呂に入れずシラミがわいた姉妹、菓子パンを万引きする保育園児……。7人に1人とされる子どもの貧困の実態を浮き彫りにし、支援策や制度、専門家の提言など解決を探る。文庫化にあたり、高校中退・学校給食・特別養子縁組を増補。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
66
「個々の家庭の問題」という不文律を一度時代を巻き戻してぶち壊さなければこの問題は解決しないのではないだろうか。少なくとも幼い子どもは自ら助けを求めるスキルを持っていないのだ。余裕がない家庭が増える中、互助という考えを大切にしていかないと、有事のときも平時のときもこれから生き残っていけなくなるのではないかという危機感をはっきり持った。2018/07/06
大阪魂
45
5年以上前の本、その頃に比べて政府も子育て支援でいろんなこと打ち出してはるから、支援編の内容はちょっとは手厚くなってるんやろなって思うんやけど、でも現場編で書かれてるグリ下とかケアリーバー、養育費とかの問題はますます深刻化してるよーな気がする…とにかく朝日新聞が総力あげて取材された子どもの貧困問題、課題がどのへんにあるか全体像をおぼろげながらでも読ませてもらえたのはありがたかった!待ってたらあかん、助け求めることを知らんしできひんこどもたち、親のみなさんを支援につなげる、ほんまできることやらんとあかんね!2024/01/12
ホシ
22
姉が一昨年に離婚してシングルマザーになり、家計も決して楽ではないと知っているので他人事ではありません。ようやく「子どもの貧困は国家的な課題である」という認識が根付きましたが、「子どもの貧困は国家的損失につながるから」といった文脈で対策が語られたり、大人側の独りよがりな支援であったりする姿が垣間見られます。その子どもが豊かな人生を送るための支援の難しさを考えさせられました。本書を読むと自分の無力さを感じずにはいられません。それでも私が出来ることを少しでも実践していきたい、そう思います。2020/05/29
テツ
19
大人の貧困は大抵の場合、必死に働く気がないか支援を受けるための知識がないかのどちらかなので、ケースに合わせたサポートをすればよいだけなんだけれど、連鎖式に貧困を背負わされたこどもは可哀想だよなあ……。親にありとあらゆる力と知恵がない。こどもを育むための強い意志もない。そんなところに生まれたというだけで跳ね上がる人生の難易度。嫌いな言葉だけれど親ガチャと言いたくなるきもちも解る。そんなこどもたちにしっかりとメシを食わせて、きちんとした生きるための力を与える方法を考えなければ、これが延々と繰り返されてしまう。2022/05/07
futabakouji2
9
子供の頃から、優しさやぬくもりを与える。子供に正面から向き合う。基本的なことだけど本当に難しい。生活保護をもらえばその家族は貧困から抜け出せない。毛布一枚を奪い合う家族。離婚、夫が働けなくなったら働くことに忙しくなり生活保護を受け取る母親。自分も貧困な家庭、環境で育っていたら今の自分はなかっただろう。しかもここにいる人達は助けを求められる環境、能力があった。なにもない人は救いの手さえ握ることは出来ない。気分が沈む本だ。2019/04/29