出版社内容情報
『怪談牡丹燈籠』『真景累ケ淵』などを自ら創作して演じ、現在でも「落語の神様」と呼ばれる三遊亭圓朝。彼は30歳で明治を迎え、近代化の中で伝統芸能を続けねばならなかった。そのために、山岡鐵舟などの政府の要人と関わって名を売り、怪談噺には「神経」という当時の流行語を使った解釈を付けて、時代の波に乗る。その甲斐あって文化人としての地位を築くが、内心は、旧来の落語を愛する己と時代とのズレや、新時代の芸人の台頭に複雑な思いを抱いていた。伝説の名人の一代記として、また、粋で退廃的な江戸から理性・倫理重視の明治へと切り替わる日本を描いた書としても貴重な一冊。文庫化にあたり、圓朝の生涯を年表化したものを巻末に収録。目次:二つの時代/一 江戸の人気者/二 歴史転換の観察者/三 禅と山岡鐵舟/四 不肖の倅/五 幽霊との訣別/六 晩年/七 門弟圓遊/名跡/あとがき
内容説明
明治維新後、三遊亭圓朝は政府に要人に近づき、時代に相応しい文化人を目指す。だがそれは一方で落語の伝統を否定し、藝人としての己の居所場を失わしめる行為だった。日本の大転換期に翻弄されつつも、したたかに生き抜いた名人の栄光と屈折を描く本格評伝。
目次
二つの時代
1 江戸の人気者
2 歴史転換の観察者
3 禅と山岡鐵舟
4 不肖の倅
5 幽霊との訣別
6 晩年
7 門弟圓遊
名跡
著者等紹介
矢野誠一[ヤノセイイチ]
1935年東京都生まれ。演劇・演藝評論家。文化学院卒。新劇の裏方、「精選落語家」のプロデュースなどを経て、執筆活動に入る。96年に『戸板康二の歳月』で第10回大衆文学研究賞、2006年に第14回スポニチ文化芸術大賞優秀賞受賞。都民劇場理事、早川清文学振興財団理事、菊田一夫演劇賞選考委員、読売演劇大賞選考委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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