内容説明
記者としてアフリカに暮らした著者が、アフリカ全土を縦横無尽に歩き、現地の食を食べながら、等身大のアフリカの姿を描く。「食べる」「寝る」という当たり前の行為を通して社会や文化の姿を浮き彫りにし、異文化との出会い、異文化理解のひとつのあり方を提示する。
目次
1 アフリカを食べる(マサイの人々と(ケニア)
海で
野で
戦場で
イスラム世界で)
2 アフリカで寝る
著者等紹介
松本仁一[マツモトジンイチ]
ジャーナリスト。1942年、長野県生まれ。東京大学法学部卒。68年、朝日新聞社に入社。82年よりナイロビ支局長。90年、中東アフリカ総局長としてカイロに駐在。93年から2007年まで編集委員。94年、ボーン上田国際記者賞、97年・『アフリカで寝る』(朝日新聞出版)で日本エッセイスト・クラブ賞、2002年、『テロリストの軌跡』(草思社)で日本新聞協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
23
20年以上前のアフリカ大陸で食べた見た食事についてのエッセイ。手長エビ、象の干し肉、羊の頭、、ロブスター。ジャーナリストである作者は同時に貧しい食事ままならない食事理不尽な格差がある食事についても書いてある。資源や技術や人材がありながら、他国の略奪や干渉(先進国に都合の良すぎる干渉)を受けてきたアフリカの国々。どうぞ彼の国ぐにの人達が幸せに誇り高く過ごせますように。2019/08/04
lily
5
朝日新聞アフリカ支局長である著者がアフリカのありのままを語る。牛の生き血、キリンの刺身、カメムシ。実際にアフリカのものを食べ、シラミだらけの毛布で寝たからこそ分かることを虚飾なく語りかけてくれる。驚いたのは、スイートコーンの粉は家畜のえさだと知らずに支援するアメリカ、ゆでる時間がないのにパスタを支援するイタリア、砂漠を走るのに防塵用でないトラクターを援助する日本と、的外れな支援が非常に多いことである。相手を見ない支援は机上の空論であり、あまつさえ地場産業をも破壊するということを雄弁に物語っている。名著!2019/07/17
ふぁきべ
5
やはりより興味深いのは「食べる」のほう。アフリカの食文化がそこまで複雑化していないのは、歴史の性なんだろうか。狩猟採集民や遊牧民が多かったからなのか?そのあたりは掘り下げて考えてみたいと思うテーマだった。国家経営についても、全て植民地支配のせいにしてしまうのは良くないが、担うべき部分は大きい。それこそ経済構造は、日本の都道府県ひとつよりも単純な国があったはずだ。識字率も低い。正義は存在しない。独立以降経済的、政治的に低迷している最大の原因の一つは援助だろう。冷戦の影響もあったように思う。2014/10/10
ふぁきべ
3
アフリカを食べる、とアフリカで寝る、という別々で出版された本を合本して出版されたがこの1冊。牛糞で手を洗ったマサイが出したチャイを飲んだり、インパラを刺身にしようとしたり、羽アリを食べたエピソードも面白い。行動力があるというか、もはや鈍いといえる(笑)アフリカ関連の本を読んでいて思うのは、土地は肥えているのに何故こうも貧しいのかということ。それはノウハウがないから、の1点に尽きるけど、交通網が整備されていないから運べない、というのも大きい。あと、イスラームの休日は前日まで決まらないというのも衝撃だった2014/01/05
バーベナ
2
観察するのではなく、そこに滞在する。客人としてお邪魔します。の姿勢がとっても好き。ともするとエラそうになってしまいがちなネタなのに、全くそれがなくて読んでいて気持ちがいい。価値観を認める、尊重するというのはこういう事なんだと思った。2016/09/15